食べ物の味が分からない。
今まで好きだった物も本当に好きだったのか分からない。
何をしたらいいのか分からない。
自分に何ができるのか分からない。
こんな嘆きの言葉を残して2年年上の友人が自らの命を絶った。
好物の話をする時は声に羽が生えているようにウキウキしていた人が、好物の味すら分からないというのは、相当な地獄だったと思う。
葬儀に参列して、火葬場に同行して骨を拾った今でも信じられない。
私も同じような心境でのたうち回っているけど、自ら命を絶とうと思わないのは、長年連れ添った黒猫がいるおかげ。
死んだ友人を知っている猫好きの友人は言った。
「今、飼っている猫が可愛いとも何とも思わなくなって、ブラッシングも、御飯の世話も、トイレの掃除もできなくなったら、私たちも死んだあの人と同じ領域に行っちゃうんだろうね」
「そうだね」とうなづきつつ、私は心の奥でゾッとする。
何とか踏み留まっているけど、私も無くなった友人と同じ境界線をうろうろしている。
宛メに投稿はおろか、パソコンすら起動できない日は特に危ない。
怖い、怖い、怖い……。
自分を救えるのは自分しかいないと分かっていても、ついつい助けてと叫んでしまいそうになる弱い自分が嫌だ。