昨日、私の家の辺りは一日中、雨が降っていました。あまりにも寒かったので、何もやりたくないと思いつつも、鉢植えの手入れを軒先でやっていた時のことです。私の奇妙な同居人が玄関から出て来て、どこかへ出かけて行きました。
丁度、私は電話の最中で、お互いに軽く目配せする程度でしたが特に気にしていませんでした。程なくして鉢植えの手入れが終わり、凍えるような心地で家に入ろうとしたその時、鍵が閉まっていることに気が付きました。
同居人は昔からの友人で、良い奴だとは思いますが、若干、頭がパァなところがあります。これはやられたと思い、ポケットを漁りましたが、鍵も金もありません。携帯電話は仕事用のモノでしたので、もう電話番号を覚えておくことなんてしない世代の人間の私は、奴を呼び戻すことも出来ません。しかし、ふと頭の中で電球が光ります。私達はうらぶれたアパートの二階に住んでいるのですが、いつもベランダの窓は鍵を閉めません。
私はサンダル履きで手練れの空き巣のごとく壁をよじ登り、何とか部屋に入ることが出来ました。
暫くして奴が帰って来て「いやぁ、ごめんごめん! ホント阿呆ですわ自分。ホントごめん!」と申し訳無さそうに5000円札を財布から取り出すので、今度何か奢ってくれやと言って受け取りませんでした。
別に怒る気持ちもなく、寧ろ変化の乏しい休日の、ほんの少し愉快な出来事でありました。