正直『同性愛者』なんて気持ちの悪いものだと思っていた。女子高時代の時も、そういう子達がいたのは知っていた

この年になるまで、正直『同性愛者』なんて気持ちの悪いものだと思っていた。
女子高時代の時も、そういう子達がいたのは知っていたけれど、周りと一緒に軽蔑してた。

・・・でも、まさか自分がそうなってしまうなんて思いもしなかった。

　およそ半年前、私はあるパート先に勤めた。
どんくさい私は研修中の間、かなりのミスをやらかしてしまった。
だから、チーフである彼女が初めて私を指導してくれるその日を、私は怖れていた。
　彼女は背が高く、見た目がものすごく怖く見える。今は辞めてしまった人の入れ知恵のせいもあって、私は彼女が怖くて怖くてたまらなかった。

　だけど、彼女はものすごく優しく私に教えてくれた。いちいち、話を止めてメモをとる私に不快な顔一つせずに、丁寧に指導してくれた。
それも、残業までしてくれて・・・。

　それ以来、彼女に対する私の考えが変わった。
気が付いたら、いつも視線は彼女を探して追いかけていた。
私はただ単に、彼女の男っぽい颯爽とした感じと、面倒見の良いところに憧れているのだろうと思っていた。
その時はまだ、それが『恋』だと気がつかなかった。
いや、『恋』だと認めたくなかったのかもしれない。

　私が嫌な感じの同僚のオバサンに泣かされた時も、そのオバサンに言ってくれたし、彼女は何かある度に私を助けてくれた。

　私はいつの間にか、これを『恋』だと認めてしまっていた。
彼女には「憧れています！ファンです！」と、伝えている。
「好きです！」なんてとても言えない。おそらく、彼女はノンケだろうから。
それだけじゃない、私は既婚者で主人がいるし、彼女はバツイチとはいえ、息子さんがいるし・・・。

　私は彼女に、普通に男性に恋しているように、恋をしてしまっている。
主人には本当に申し訳なく思う。私にすごく優しくしてくれているし、愛してくれているのに。
・・・でも、好きな気持ちを抑えられない。

　私は一体どうしたいんだろう！？
彼女に思いを伝え、恋愛成就させたいのか！？
いや、「好きだ」なんて言った瞬間から絶対に退かれるに決まってる！
ここで普通の恋愛とは違う、同性愛の辛さを初めて知る。
今ならば、高校の時に蔑視していた、あの子達に心から悪かったと思う。

　第一、私は彼女にどう思われているか分からない。
二人きりの時には、私が聞きだしたのに対して、彼女が『熱中していること』については教えてくれた。
『バレーボール』のことだ。
彼女は中学の時からバレーボールをしていて、今に至る。
「コートの中ならば死んでもいい」と、彼女が呟いた時、正直カッコイイと思った。私の思った通りの人だと思った。

　彼女は仕事中に私と話す時は、目を合わせない。
だけど、彼女が遠くにいる時に、私が視線を感じて顔を上げると目が合うことが多い。
つい最近も、目が合って私が瞬きをしてみせたら、彼女は視線をそらして自分の腕時計を見た。

　私は彼女に嫌われているのかな？恋愛成就させたところで、『不倫』で、『同性愛』だ。

　最近、この状態が辛くなってきたかもしれない。
仕事から帰ってくると、やたら疲れている。寝ても疲れが取れない。

でも、彼女のことは愛している！
　月曜日に彼女に会った時、また嬉しい気持ちと苦しい気持ちが交錯するんだろうな・・・。