優しさとは、瞳の色のようだと思います。
しかし、己の優しさとは、どうやって見るものなのでしょうか。
鏡を介さなくては、その色は目にすることが難しいです。
しかも、もしもその鏡が濁ったものであれば、優しさも、美しさも何もかも、濁って見えてしまいます。では、清く正しく美しい鏡とは、一体どこにあるのでしょうか。
鏡となるだれかに「優しいね」と言われても、それを信用することは、人によっては難しいことです。
あなたから発せられる光達。
真っ直ぐな光は真っ直ぐに。ねじ曲がった光はねじ曲がって、あなたの瞳に届く光。
一体どの鏡なら、その色は、正しく反射されるのか。濁りなき、真っ直ぐな鏡。そんなものはどこにあるのか。
鏡とは、時に残酷です。美しい容姿の者には美しい容姿をそのままに。醜い容姿の者は、そのまま醜く、鏡に映ってしまう。
見たくない現実こそ、鏡は真っ直ぐ、あなたに見せてくる。
「鏡よ鏡、鏡さん。この世で1番綺麗なのはだぁれ?」
「それは──」
この問いかけに、正しい答えを返してきた魔法の鏡は、1部のお話では、女王様に割られてしまいました。
良く言えば、
本当のことを言っただけで割られた鏡と、
誰より美しくなろうと努力して、その努力に裏切られた女王様。
悪く言えば、
女王の努力を言葉1つで裏切った鏡と、
思い通りにならなかっただけで鏡を割ってしまった女王様。
一体どちらが悪かったのでしょう。
私は、誰も傷つけることのない鏡になりたい。
割れてしまったその時は、あなたの手を傷つけないよう、触れずに居てください。
助けて欲しくなったときは、助けを請います。
あなたの瞳の色が、見つかることを願います。
2024/04/06 暁樹紬姫