僕の現在位置です
このところ暑い日が続いている。
朝晩との寒暖差に身体が追いついていかない。
この文を書いている今も、扇風機を微風で回している。
首筋のリンパ節と、耳の後ろが腫れていて、触れると鈍い痛みを感じる。
体調不良の前兆だろうか、そう考えるだけで不安になる。
自慢じゃないけど、僕はこれまで風邪を引いたことがない。
インフルエンザやりんご病、溶連菌感染症などに罹ったことはあるけど。
今回も、一過性の腫れで終わってくれることを祈る。
僕は生まれつき、睫毛が長い。そして、髪は天然パーマ、カラーは明るい栗色。瞳の色はブラウン。今も変わっていない。
学生の頃は、初めて会う人にも、友人にも、美容師さんからも「髪、染めてるの?」と訊かれた。
講義で偶然、隣同士に座った見知らぬ女の子からも同じ質問を投げかけられて「いえ、これ地毛なんです」と言ったら、「めずらしいね! 日本人じゃなかったりする?」なんて反応が返ってきたので驚いた。
両親から受け継いだと思われるクッキリ二重の瞼に、クリンと上向きにカールした睫毛を見て、幼稚園の教諭たちは「女の子のモデルさんみたい!」と言っていたっけ。
今は廃刊になった、とある婦人向け雑誌の編集者から、僕をファッションモデルとして誌面に載せたいとオファーがあった。
オファーを承諾した母(と僕)は、当時住んでいたアパートから車で1時間ほどの距離にある、真新しい住宅展示場へ向かった。
そこが撮影会場になっていて、スタイリストさんにいろいろな服を着せてもらって、髪もセットしてもらって。
その後は、ひたすら写真撮影。ポージング、目線、ライティング……さまざま変えて、かなりの枚数を撮った。
夢の国に来たような、非日常感を、丸一日味わった。
そして大人になった今、誌面のコピーを見る度に、僕の心の中で複雑に入り乱れた感情が顔をのぞかせる。
先日、自分の不手際でヘッドフォンを壊してしまった。事の顛末は、少し前の小瓶で流しているので、興味があれば拾ってみてほしい。
代わりの品を買おうかどうか、数日の間、悩んでいた。
スマートフォンでの通話に使うマイク付きイヤフォンを持っているんだけど、経年劣化のせいか、コードがベタついて埃や塵を纏うようになり、使う度にあんまり良い気分がしなくなっていた。
そんなこともあって、マイク付きイヤフォンの代替も兼ねて、マイク付きの Bluetooth 対応ヘッドフォンの購入を考えることにした。
実は、Bluetooth 対応の(有線ではない)ヘッドフォンを買うのは初めてで、最近主流の完全ワイアレスタイプのイヤフォンも使ったことがない。
まずは情報収集から始め、一通り揃ったところで、候補を3つにまで絞った。主要な量販店に問い合わせて、製品の展示の有無や試聴の可否を訊いてみたけど、どれも用意がないとのこと。
こうなったら、あとはネット上のクチコミ頼みだと思い、3候補のうちトップにあったモデルを Amazon で発注した。
注文した日の翌朝、それも早朝 4:30 から 8:00 の間に届けてもらえる「ラッシュ便」が適用されたので、翌朝 6:15 には置き配されていた。すごいな Amazon。
発注したのは、M下K之助が興した会社の、普及価格帯のモデル。
さっそく開封の儀を執り行い(?)、パソコンとペアリングしてみたら、"Bluetooth connected." との音声ガイダンスが聞こえ、あっという間に接続された。
ケンウッドのドライブレコーダー「ミラレコ」テレビ CM の音声を鳴らし、低音域とナレーションの音質をチェック。ここまでは良かった。
しかし、ダイアナ・クラール(エルヴィス・コステロの奥さん)の歌う「S'Wonderful」「The Look of Love」を鳴らしてみたら、サシスセソ、いわゆる「サ行の刺さり音」がかなり強く、15分ほどの試し聴きで、耳が疲れてしまった。
それでもと思い、日頃から音質チェックに使っているリファレンス・ディスクを演奏して鳴らしてみたり、数日間慣らし運転をしてみたりと、あれこれ試したものの、状況が変わることはなかった。これでは、実用に耐えない。
残念だけど、今回は返金してもらい、次点候補のモデルを買うことにした。
プロフィールの欄にも載せた通り、僕の専門分野はストレージ技術だ。コテコテの文系人間なんだけど。
情報通信を専業でやっている会社(NTT や携帯電話キャリアなど)の出身ではないけど、ネットワークの技術者としての顔もある。
今の時代、ビッグデータ、クラウドビジネス、人工知能などが社会インフラとして浸透してきているから、ストレージとネットワークは切っても切り離せないほど強固に結びついている。
某「大きな樹」で有名な、僕の古巣。コングロマリット、総合電機メーカーの看板を外しつつある。離職してから CEO が変わり、経営方針こそ「協創」を維持しつつも、選択と集中を推し進めているように思える。
新卒から入社して、何事もなく順当に昇進を重ね、ときに専門性を活かすためにグループ会社へ出向したり、海外拠点へ派遣されたり。そういうキャリアパスを描いていたし、実際に、そのチャンスもあった。
でも、僕にはそれを叶えることが出来なかった。今で言うパワー・ハラスメント、残業時間の付替、オーバーロードは日常茶飯事。身体も精神も徐々に蝕まれていった。
僕がこんな経歴を話すと、色んな人から「その職場には合わなかったのかもしれないけど、それだけの頭があれば(再就職先を)どこでも選べるじゃん」なんて言ってもらえるんだけど、現実はそう甘くないのだ。
先日もお祈りメールをもらったし、メンタルさんの職探しは困難を極める。「そう思うのは、貴方が職を選り好みしているからだ」と言われることもあったけど、「お金が貰えるのなら職業は何だって良い」わけじゃないよ。それは僕だけじゃないはず。
各種資格もそれ相応のものを持っているし、古巣に身を置いていたときも正当に評価されていた。
語学、情報処理、ネットワーク(Cisco, Yamaha 認定)、などなど。
その分、オーバーロードが続いて仕事も自転車操業みたいな状態で、当然残業しないと残りの仕事は減らせないし、かなり無理してたのは否めない。それでも、特別(職能)手当も付けてもらっていたから、同期入社の他部署の社員より、かなり多く貰っていたはずだ。
両親に給与明細を見せたときには驚かれた。なんたって、30も年の離れた父親よりも倍近く稼いでいたのだから。
現状、メンタルさんの職探しにおいては、こんな経歴も、専門知識も、資格も、一切考慮されない。それどころか、こんなものを持っているせいで職が決まらないのだ。
前に、障害者雇用の支援室を訪れた際、僕の担当者が、こんな内容をポロッとこぼしたことがある。
「いろんなアビリティやタレントを兼ね備えた障害者ってのはねぇ、会社から敬遠されちゃうんですよ。なんでかって、そういう人が会社に入ってくると、『障害者のくせに自分より仕事ができる、才能持ってる奴がいてムカつくわ』そう考える人が必ず出てきて、軋轢が生まれるからなんですね。本来、障害の有無と業務遂行能力の差に明らかな相関はないんですけど、要するに僻みだったり、妬み嫉みだったり、そういう健常社員からの鋭い視線が向かってくるんで、会社にとっては有益な人物と分かっていても、内紛を避けるためにあえて落とすってのはよくある話ですよ。たぶん僕の現在位置さんもそのパターンじゃないかな。」と。
ここまで書いて、僕がなぜ風邪を引かないのか、その理由が解った。
馬鹿だから、だね。
なんだか蒸発したい気分。(ジュワッ……
今回のBGM:
Aie / 原田知世
203154通目の宛名のないメール
お返事が届いています
僕の現在位置
(小瓶主)
ななしさん へ。
お返事ありがとうございます
スキルがありすぎるのも困りものということでしょうね
今になって反省してます、遅いんですけど
ただ、器用貧乏のフリして生きるのもそれはそれで疲れてしまうので、辛くなっちゃうんですよ
全部捨て去りたいですよね、ホントに
健康保険証と運転免許証と障害者手帳、これだけで十分ですよ
かつて勤めていた会社では職場(部課)によって必要とされる能力が大きく違いました
僕の所では英語は出来て当たり前、それが英検1級だろうが TOEIC 満点だろうが、褒める人も褒められる人もいませんでした
プラスアルファのものがないと職能として認められない、でもそれが大企業で働くってことなんだと思い込んでたので、僕は大学で学んでいた中国語を活かして、中国の取引先の人と電話で話せるようにブラッシュアップしました
そのぶん仕事は回ってきましたし途中から手当もつくようになりました
学生時代は個別指導塾のバイトこそしてましたが、学部の勉強がとにかく忙しく、年に数回の抜き打ち TOEIC 実施(夜6時スタート)、それに加えて3年次から司書課程をプラスしたので、4年間勉強漬けの毎日でした
4年制大学の多くは124単位で卒業要件を満たしますが、僕は司書課程の32単位があったので計156単位で卒業してます
就職活動に多くの時間を取られる3年・4年次に少しでも余裕ができるようにと、履修計画も綿密に考えて、時間のやりくりしながらやってましたね
3年次の夏休みの1ヶ月間、平日は毎日図書館実習で他大学の図書館へ通って、1日8時間、みっちり実習でした
休み明けには実習ノートの提出と成果発表があるのでその準備、大学近隣の図書館で子供向けの絵本読み聞かせ(授業の一環)の練習……やっぱり若かったからできたことです
空きコマがあれば図書館へ行って小テストの勉強をするか、自前のノートPCを開いて研究発表の資料作り……ワイアレス LAN の環境が今のように整っていませんでしたから、伸縮式の LAN ケーブルを持ち歩いてました
PCも重かったな……バッテリーで動くのはせいぜい2時間、だから AC アダプターも一緒に入れてましたね
研究発表の仲間たちはバイトだのサークルだの合コンだの、何だかんだ理由つけて手伝ってくれないから、みんな僕が背負ってました
大学のコンピュータールームで数名で作業してても、気がつけばメンバーは YouTube 見て笑ってるし、「何のためにリスケしてここに居ると思ってんだお前ら」と時に心のなかで毒を吐きつつ、コンピュータールームの閉室後に図書館へ移動して終わらなかった作業の続きをやり、図書館が閉まれば自宅へ持ち帰ってまた続きをやる……
それでも「大学は学問を究めたい人が行く場所、周りのみんなだって条件は同じ」とストイックにやってました
そこに最大のイベント「就職活動」が並行してやってくるんですからもうてんてこ舞いですよ
リーマンショック直後だったので、世界的に先行き不透明な情勢の中、応募して3ヶ月以上も音信不通で待たされた挙げ句「本年度の新卒採用活動を中止いたします」なんて連絡がきて、入りたかった会社の3割ぐらいはそんな感じで強制終了でした
急遽ストライクゾーン外の業種も検討せざるを得なくなって、あちこち福岡だ、大阪だ、名古屋だ、100社以上回って内定出たのは2社……
交通費、食事代、服飾代、クレジットカードで払ったもの、その他諸々でいくら使ったんだろう、全部自分の口座から出して親からは一銭も援助受けてないです(こちらが請求してないだけで、言えば出してくれたのかも知れませんが、「おい、金くれよ」とは言えなかったな)
内定出たうちの1社は、本社(大阪)での最終選考の際に「ほんの気持ちやけどコレ持っていき」と、他の学生が見てない所で人事部長が往復の新幹線代(のぞみ指定席、新大阪~東京)を持たせてくれました
その恩は今でも忘れません
内定を辞退するのに電話をして、どこに決めたのかと訊かれて名前を言ったら「まあ、しゃあないな」と心底悲しそうに言われたんですよね
僕のことを人間性も含めて真っ当に評価してくれた数少ない会社でしたから、僕も申し訳ない気持ちでした
そこの会社の製品がいま自宅に4つあります、もちろん好きだから買って使ってるんですが、せめてもの罪滅ぼしにという思いもゼロではありません
まあでも、今となってそういった諸々が仇となるとは、当時の僕はまったく想像してませんでしたね
やっぱり真性の馬鹿だったんですよ
「生まれる時代を間違えたね」なんて慰めてくれる人も居ましたけど、その人がお膳立てしてくれて僕が働けるようになるわけじゃないので、自分で開拓していくしかないですね
当時使ってたノートPC、まだ使えますけど、キーボードの文字は掠れて所々消えてますし、画面も暗くなってます
もう17年も前の機械ですけど、それでもまだ動くんだなーって思うと複雑な気持ちになります
なんかもう疲れちゃいました
すみません、ただの吐き出しになってしまって
僕の現在位置
(小瓶主)
あれい さんへ。
ごめんね長くなっちゃって。
風邪を引かないのが一番なんだね。
(本人、経験ないから風邪の辛さが分かってない)
気圧の変化、天気が悪くなる前には頭痛とかで調子狂うから嫌だな。あとなんか上からの圧を感じる。
あはは、今から「先が思いやられる」なんて、3才4才の頃から頭痛と闘ってきた僕はどうしたら良いの(笑
ともかく、身体は大事にね。
弥生人、縄文人の顔の復元プロジェクトがあった(今もあるの?)けど、縄文人って本当に存在したのか、根拠が揺らいでるらしいじゃんね。
彫りが深くて鼻が高い、毛深い、お酒に強いとかで、西欧系の特徴があるとか言われてきたけど、DNA 鑑定とか色々していくうちに、いつどこで分化したのか分からなくなっちゃったって聞いた。
弥生美人で有名なのは安藤サクラさんとか。黒木華さんも?
美容整形のメニューにも未だに「二重まぶた術」があるぐらいだから、こだわりのある人達が多いんだろうとは思うけど、瞼が二重だから得になることは何って無いよ、実際。
だってさ、誰かを好きになるときに、瞼を基準にして見ないでしょ。
「ああ、あの人いいなー。好きになっちゃうなー。でも瞼がなぁ……。」っていうのは、邪な気がする。
「それさ、ホントにその人のこと好きなの? 君は瞼で人を選ぶの!?」って突っ込んじゃうな、僕なら。
誌面は、地に堕ちた今の僕から見ると、キラキラしすぎてて直視できん、色んな意味で。
幼い頃の自分の姿を見てるってのは頭では解ってるし、そう言い聞かせてる。だけど現実味が全く無くて、前世を覗いてるみたいな感じ。
そこに映ってる三十数年前の自分と、今の僕との間に、identity も無ければ consistency も無い。いや実際はあるんだろうけど、それを感じろと言われてもできない。
自分で言うのもおかしいんだけど、誌面を飾ってる自分があまりに穢れを知らなさすぎて、だから同一性や整合性を感じられないんだろうねぇ。
ああ、楽器やってるとコード邪魔だね、同意。
音源を聴きながら100小節ぐらいのインプロヴィゼーションを練習したり、「今度の合同演奏会のソロパートの譜面書いたから、ベースラインだけの音源に合わせて吹いてみよう」とか思ったり。
プレイヤーを制服のポッケに入れるから、ポッケから耳までコードが伸びて、まとわり付くのが面倒だったな。ドラマーなら尚更だよね。
でも、ワイアレスのイヤフォンを贈ってくれる友達がいるって、すごいよ。それだけ、あれいさんは人望が厚いってことなんじゃないのかな。
いや、羨ましすぎる!!
一方で有線のタイプは、圧縮処理が無いぶん情報量が多いから音も良いよね。
有線のヘッドフォン、ある程度のグレードの物だと、好きなコードを使えるモデルもあるじゃない? リケーブルできるやつ。コードによっても音の出方が変わったり、ボーカルが厚くなったりするから、そこにお金掛けるのも一興。
僕は吹奏楽部の出だけど、やってた音楽はほぼジャズだから、ハイハットとか、スネアのクローズド・リムショットの音がしっかり鳴るヘッドフォンが好きなんだよね。あと低音がブワついて締まりが無いのは嫌。
使い分けって大事だよね~。
あれいさん、いつの日にか起業するようなことがあったら雇ってよ。社員が一人しか居ない「雑用課」の課長にしてよ。給料どーのこーの言わないから。
なんかもう今持ってる資格とか全部破棄したいと思ってきた。手枷足枷になるような物は持たない、それに気付きなさいという神の思し召しなのかも。
何が「内紛」だよってな……。
僕の現在位置より
ななしさん
ご自愛くださいね
そんなにたくさんのスキルがあっても
お断りされてしまうことがあるんですね
もったいない
世の中って単純なようで複雑なのかな
そんなことで僻むなんて呆れちゃいますね
人間だから仕方ないのかもだけど
あまりにもやりきれないですね
ふつう、を持ってる人たちなのに。
せっかくの現在位置さんの努力の結晶が
「こんなもの、持ってるから」と
思われてしまうのは
なんだか悲しいです
すごく。。。
いいごえんがありますように
まけないでください
あれい
風邪を引かないのは良いこと!!
私は高校生になってから、
風邪を引くことが増えてしまいました
寒暖差とか天気、気圧の変化にも
敏感になってしまい、先が思いやられます…
僕の現在位置さんは
私とは逆の見た目ですね
私は弥生人みたいな見た目なので笑
ないものねだりで、羨ましいなって思います
その誌面、見てみたいなぁ…
私はワイヤレスイヤホンを使っています
ドラムの練習をするときに有線だと
動きづらいので、ワイヤレスイヤホンが欲しいと言っていたら
それを聞いていた友だちが、プレゼントしてくれたんです!
しかも良いものを…
とっても嬉しくて宝物です
でも今まで使っていた有線のイヤホンの方は低音が聴こえやすいので、
使い分けています
私が雇う側だったら、絶対に僕の現在位置さんを欲しいと思いますけど…
内紛とかそんな、、何だか私が悔しくなってきました
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。