☆まあまあ長いよ。
鍵垢で、普通の友達や先輩後輩、家族や彼氏にも言えそうにないことを呟いてるアカウントがある。
ほんとは誰もフォローせずに日記みたいに使うつもりだった。
見られたくない、こんなに醜い独り言を誰にも聞かれたくない。
でも、でも、ほんとは誰かには気づいて欲しくて、「彼」のアカウントだけフォローした。
多分私だって気づいてないんだろうな、すぐにフォローを返してくれた。
「彼」と言うのは、ただの友達でも仲間でもなく、恋人より遠くて近い気がするような、私の大切な人のこと。
お互いの弱さを知っているから、何か辛くなったら彼によく話を聞いてもらっていたし、私もよく彼の話を聞いていた。お互い傷の舐め合いのようなことをしていた。
今は少し遠くに住んでいて、卒業してからは一度しか会ってない。
だけど、久しぶりに電話で声を聞いても、久しぶりに会っても、しばらく離れていたような気がしない。
こんな風に思ってるのは私だけなのかもしれないけれど、彼はずっとそこにいたように思える、血の繋がっていない"家族"です。
(詳しくはシリーズとして書き記してるところだから、気になった人は他の小瓶も読んでみてください。)
ここ最近、彼と連絡を取ることが多かった。
彼から連絡が来ると、心があたたかくなって、一緒にいた頃が懐かしくなって、彼に会いたくなった。
電話してる時、冗談めかして、会いに来てもいいんだよって言ったことがある。
だけど、彼は、一人暮らしの女性の家にそう易々と行けない、あんまりそういうこと言うな、って返してきた。
私には恋人がいる。それを彼も知っている。
だけど、私にとって彼は恋人とは違う立ち位置で、血の繋がりは無いけれど心は繋がっている"家族"のように思ってて、ただ会いに来てほしいだけで
だから、そういうつもりじゃないし、君がそういうことをしないって知ってる、信じてる、と伝えた。
その距離が痛かった。
何で女として生まれたんだろう、と思うことが時々ある。
生まれながらの性別はどうすることもできない。…いや、手術とかすれば変えられるんだけど、私は女である私を無くしてしまいたいわけじゃない。綺麗な服を着るのは好きだし、最近メイクも楽しいと思えるようになった。恋人のおかげかな、自分の顔も体も昔ほど嫌いなわけじゃなくなった。
ただ、両性、無性別、そんな感じになりたいだけ。
女の子らしくしなさいって言葉が昔から大嫌いだった。クラスの女子達のグループも苦手で、いつもどこにも入らずフラフラしたり、仲の良い男子と一緒にいたりした。
学年が上がるにつれて男女の差が大きくなっていったから、1人でいることも増えたけど。
とはいえ、似たような女友達もいたし、(若干の居心地の悪さを残しつつも)徐々にグループに属することに慣れていったから、居場所がどこにも無いわけではなかった。
だけどあの頃、クラスで、部活で、1番一緒にいたいと思ったのは彼だった。
身体の違いが憎かった。
私が男だったら、彼が女だったら、性別なんてものがなかったら、周りの目なんて気にせずにいつも一緒にいられたのに。
2人で話していても周りから何も思われなかったのに。
もっとあのひとに触れられたのに。
それはただの「好き」で片付けられるようなものじゃなかった。
きっと恋とかそんなもんじゃないんだ。だって、上手く言い表せないけど、私が恋人を愛しいと思う気持ちとはどこかが決定的に違うから。
単に彼を人として好きなだけなんだ。恋愛じゃなくて、友愛、家族愛、そんな言葉の方が相応しいはずなんだ。
でも、この悩みも全部ひっくるめた「好き」を彼に伝えたらどうなるんだろうと考え続けている。
彼が私をどう思っているのか知りたい、どんな言葉を返してくれるのか知りたい。
だけど、
だけどもしそれで関係が壊れてしまったら?
それは想像できる限り最悪の結果だと思う。
私が今の恋人と出会う前にも、彼にそれを伝えられる機会はあった。いつも一緒にいたんだ、タイミングなんて山ほどあった。
けれど、彼との関係が壊れて一緒にいられなくなるのが怖くて、そしてひとに裏切られたばかりの彼を私まで傷つけてしまうのが何より恐ろしかった。
だから、伝えなかった。
当時の私のこの選択はきっと間違っていなかったと思う。そうでないと今の彼も今の私もいないから。
「すきだよ」の4文字を入力して、悩んで、投稿をやめた。
あのひとはまだ恐らく私のアカウントに気づいていない。
でも、いつか気づくかもしれない。この宛メにも。そのヒントは所々に散りばめてある。
見つけてほしくて、見つけてほしくない。
知らないままでいてほしくて、でも気づいてほしくて。
どっちの気持ちも本当だから、訳が分からなくなる。
言えないまま、ひとりで抱えた想いにこそ価値があるんだろうか。
それとも君に全部伝えしまったら楽になるんだろうか、もっと君に近付けるんだろうか。
ねえ、もしもこの小瓶に気づいたら、君の持ってるSNSのアイコンを全部、あの日のあの空の写真にしてよ。
そうしてさ、とびきり美味しいシフォンケーキを手土産に、会いに来てよ。
2人でまたあの公園で話してさ、あの川沿いを歩いて帰ろうよ。
そのあとは離れていったっていいから、君の好きなようにしていいから。
だから少しだけ、私に時間を頂戴…
それまで私はここで静かに叫び続けるから。
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