報われることがなくても、想う人がいるのはきっとありがたいことだ。
また会える保証なんてないし、きっと会いに行くのも控えた方がいいのだろうけれど、でもいつか彼の視界にまた入るかもしれないその時のために、私は自分のケアをし続ける。外見もそうだし、仕事やプライベートでも、人間的に彼がまた繋がりたいと思うような人間性を磨き続けようとしてる。
彼は、また会える時を教えてくれた。次に連絡をくれる理由を残してくれた。
元々目を惹く人だったけれど、また歳を重ねて魅力的になっていた。私と会っていた時もそうだったように、今はもっと彼に惹かれる人が増えただろう。そしてそれはこれから数十年は続くと思う。正直、彼のような人と付き合ったり結婚したり絶対したくない。誘惑だらけだと思う。
私たちの関係は一体何だったのか。
深い話もしたし、お互い惹かれていし、でも何か理由がないとお互い会える立場じゃないし。私と彼が会うことで嫌な思いをする人たちがいる。
話したいこと沢山あった。彼は自分のことをたくさん話してくれたのに、私は自分のことを聞かれないと話さなかった。
本当はあれもこれも聞いて欲しかったけれど、重荷になるようなことは何も言いたくなかった。これが人を愛するということなのか。
私の生まれ育ったところでは、マイナスの感情の捌け口にされていた。だからそれが普通だと思ってしまい自分も普通に口にしてしまっていた。
自分をケアすることを教えてくれた。自他を思いやることを教えてくえた。
それで十分、のはず。
彼は偶然を装って、何度も私に触れようとしていた。でも、触れ合うことは許されなかった。
二人きりになることがあれば、何か起こっていたと思う。でも二人きりになった時点でトラブルになる関係だった。
夜に会えるようにしようとしていたこともあった。仕事の後待ってて欲しいと言われたこともあった。でも状況的に許されなかった。
多分、私が一線を越えるような人間じゃないから彼は私に惹かれたし、私も彼が人を傷つけるようなことをできる人じゃないから彼に惹かれたんだと思う。
こういう愛情の形もあっていいんだろうと、そう思う。