もう一度、卵に戻ってぬくぬくした羊水に包まれて何も考えずに過ごしたい。
栄養は勝手に補給されるし安全は確保されているし、胎児って本当に何て素晴らしい環境にいるんだろう。
一生胎児のままで居たかった。死なない限り不安に追われるこんな世界に出てくるんじゃなかった。
芥川の河童のように出生するか決める権利が自分にあれば良かったのに。
でもそれが到底無理なのは分かっている。
ならばさっさと年老いて老人ホームに入れられたい。
多少の不便や迷惑はかけても、なるべく大人しく過ごすから。
要は動きたくないんだ。
ものすごくわがままだな、自分は。