咳が止まらない。
黙っていればそこまで咳は出ない。
何かしゃべろうとすると咳き込んでむせる。
これが辛い。
リモートの定例会で自分の報告の時に咳き込まないようなトーンで喋らないといけない。
一度咳き込むと大袈裟なくらいにゲホゲホ咳き込んでしまう。
あぁムカつく。
なんで俺がこんな目に遭わなきゃならんという感情が押し寄せる。
文句を言いながらでも仕事はしないといけない。
『まだ辛いなら休めば?』
なんかそんな声がどっからか聞こえて来そうだ。
休んでいいなら休むわ。
だがこの程度で休んでたら有休なくなるんだよ。
後でもっと辛くなった時、
『あの時咳くらいで休まなければ良かった』
って後悔したくねえ。
同情するなら金をくれ。
咳がなおる薬をくれ。
有休をくれ。
代わりに仕事片付けてくれ。
どれも無理だ。
だから俺は文句を言う。
こんなに大変なのに頑張ってる俺は偉いと自分を鼓舞する。
俺だって死にてえって言いたいのさ。
逃げ出したいって言いたいのさ。
けどそれで誰が助けてくれる?
何が変わる?楽になれるとでも?
一時的に逃げるのは良いだろう。
学校とか仕事とか、たまに逃げるくらいなら許されるだろう。
俺はコロナの体調不良を理由に仕事から1週間逃げた。
だからもう逃げられねえんだ。
熱は下がったんだから仕事できるだろう。
無闇に逃げる奴は悪だ。
逃げるのを助長する奴も悪だ。
逃げるくらいなら抗って、戦って、それから死ね。
まだ俺は死ぬのを許される程戦ってないはずだ。