真実か、偽りか。
どう受け取るかはこの手紙を読んだあなた次第。
結婚、恋愛、生涯の伴侶。
家族も、友人も、まるで服をあてがうように異性を紹介していく。
突っぱねても納得しないので、ある程度話して良い人だ。素晴らしい人間だと解る。
だが、心は全く惹かれることはない。どんなに美しくても、どんなに愛らしくても、どんなに格好良くても。
自ら出会う人々全てに心が揺れる事はない。
心が少しでも動くことがあるとしたら、私の好きな笑顔を浮かべる人だろうか。
無邪気、邪気のない無垢な瞳をこちらに向けて眼があえば小さな花がふわっと咲くように笑う。
可愛い、愛しいあの子の笑顔。
もう、どこにもいない、子どものままのあの子。
同じ年月を過ごすことができなかった、私の大切な人。
私は亡くなったあの子がずっと忘れられない。心から愛してるから、あの子だけが私の拠り所。
似た笑顔の人を見つけるたび、大人になった君を想像して無意味な妄想だと、心を諌めても不意に思い出してしまう。
君の顔、声、仕草。
一度だけ、人に話して気味の悪いものでも見るかのように蔑まれた。
そりゃそうだ。
亡くなったやつを愛してるなんて、聞きたくもないだろう、冗談だろってな。
生憎様、認めてもらおうなんざ思ってない。ただ、愛してる。ずっと、この先も、永遠に。
君だけを愛し続けるよ。
さあて、これは本当でしょうか?
読んでるあんたが勝手に決めてくれ。んで、返事もするな。意見も不満も聞くつもりないんでな。
あー、ただ一つだけ。
誰かを想う日が来たら、忘れるな。いつかは失う、それまでの間にどれだけ思い出を遺せるか。
いつか掘り出した思い出には幸せが詰まってる。思い出しては笑って幸せになれるようにな。
思い出の中でなら何度でも出逢えるから。