演劇が好きだった。愛していた。もはや思い人だった。
一生を演劇に捧げていたいと思った。舞台で生きていきたいと願っていた。
演技の才能はなくとも、この愛は本物だと思っていた。
だから、私にだけ全然感想がなくても、変なこと言われてても、本物の愛があるから、それでいいと思っていた。
本物などではなかった。
本物だと思っていたそれは、まさに井の中の蛙だったわけで。
本物を見て、気づいてしまった。
本物の演技、本物の愛。
舞台に愛されている人間たち。
同期の2人。
に混ざる生半可の私。
ちょっと文句言ってても許されるくらいの技量があるわけでもない。
ちょっとの不満を覆い被せられるような愛情があるわけでもない。
微妙な立ち位置で、周りを振り回して。大事な舞台を壊した。
キャラクターたちを殺したも同然。
もっと彼女たちは輝けた。
もっと彼女たちは見てもらえたはずだったのに。
役者は、舞台の上に私情を持ち込んではいけなかったのに、守れなかった。
私が、仲間も、舞台も、傷つけた。
演劇が好きだった。愛していた。もはや思い人だった。
今でもそうだ。
それでも、私に、もう舞台に上がる資格はない。
キャラクターを殺したも同然、それはつまり法に触れてないだけの罪人だということ。
それなのに私は未だ舞台を夢見てしまっている。
なぜか、わからない。
人間関係とかなら、傷つけたってわかったら関係を切ることも容易いのに、演劇だけは、切れない。切り方がわからない。
だから代わりに、私を舞台に上がれないようにしている。
キズモノになって、穢れになって。
体は醜く。
心は、ほったらかし。
夢を見ている、その心のまま。
どうしたらいいのか、それもわからない。
なんでだろう。どうしてだろう。
心も壊れるくらいボロボロになりたい。してほしい。
私じゃどうすればいいのかわからない。
誰か、あたしをぐちゃぐちゃにして、罰で救って。