「ただいま〜」
リビングのドアを開けながら声を放つ。が、誰もいなかった。
「昼は仕事か…」
荷物も置かず、コップにお茶を注ぐだけして自分の部屋へと向かう。
荷物を適当に投げ、ベットに飛び込んだ。
「はぁ〜疲れた…」
おもむろにリュックからスマホを取り出す。
写真フォルダを見ながら、アフガニスタンでの生活を振り返る。
日本の昔遊びに熱中する、現地の小学生。
殺風景な難民キャンプ。
痛々しさが滲む、紛争の跡地。
…あー、だめだ。
すごく感傷的になってしまう。
写真フォルダを閉じ、電話を繋いだ。
『もしもし〜?』
「あ、明來。今大丈夫?」
『全然忙しいけどいいよ!』
明來と喋るの、久々な気がする。
『なんで最近電話してくれなかったの!?一週間くらいさぁ〜』
「ごめん、留学してて忙しくて…」
『留学?』
明來の声が少しピリつく。
なんか気に触れたかな、とりあえず学んだこと言えば納得してくれるかな。
「うん、アフガニスタンに行ってきた。現地の小学校とか、難民キャンプとか見てきて。すごい大変そうで、俺もなにかできないかなって」
『瑠唯はさ。』
俺の言葉を遮って、鋭い声が飛んでくる。
『世界の辛さを知って、どうにかしたいって思ってるんだよね。』
「うん。」
それの何が悪いのだろうか。
『日本も、ってか身近な人も…』
そこで言葉を切る。
続きが気になって、耳を澄ます。
『やっぱいいや。ごめん、態度悪かったっしょ!』
「え、いや、」
『今バイトの休憩なんだけど、そろそろ上がるから切るわ!ごめん!』
「あ、ちょっと」
『それじゃあね!留学疲れただろうから、よく休んで!ばいば~い!』
「う、うん。じゃあ…」
プツッ
俺は、取り返しのつかないことをしてしまったのかもしれない。
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