子供達が秘密基地を作る。大人達が其れに気付く。子供達の予想に反して大人達は協力的だ。基地に向かう子らにある大人は声を掛け、また或る者は差入れを持参する。やがて基地は退屈で窮屈な場所となり、子供達は基地を放棄する。媒体が何であったかも思い出せない程前に見た話にこんなものがあった。
秘密とはどうにも魅力的で、魅力の正体とは実の処秘密そのものだ。剥き出しで居る人に「さて、この人の北風は」と想いを巡らす。今はこれが丁度良いと何処から来たものか判らないその人は言うのだが、見れば少々無理をして居る。どこかに良い外套はあったかと数日探したもののどれもどうにも具外が悪い。目があった時の苦笑いの理由は互いの秘密でいいじゃないか。