※超長文のひとりごとなので、注意
化学が好き。
小学校6年のときの実験、塩酸と水酸化ナトリウムの反応。
少量取って加熱をすると、次々に机へ飛び出してきた白い粒々を見て
「これが塩かー!」
となった。
使ったリトマス試験紙は捨てずに持って帰った。
家に帰って連日ノートをまとめた。
物質それぞれにキャラクターを作って、反応して違うキャラクターになる。
図書館から入門書を借りてきて、それぞれの物質に合った見た目と性格にした。
原子の作りに惹かれた。金属光沢に惚れた。イオンになれば様々な色になる。ニッケルの色合いに感動した。
でもある日、母親にそれが見つかった。
「バカなことしてないで、勉強しなさい。あなたがそんなことしてる間に、他の子は漢字も計算もしてるのよ」
ちょうどその翌日が懇談会だった。
担任が「お前のノートはすごい。懇談会で名前を伏せて見せても構わんか?」
と聞かれ、承諾した直後だった。
次の日学校へ行ってすぐ、担任に何度も謝って、それは辞めてもらった。
ノートは捨てた。
中学に行くと、理科の資料集をもらえた。オールカラーの専門書(に見えた)をついに手に入れた。
荒れた学校だったから授業は崩壊していて、暇な時間はすべて化学反応式を見て過ごした。
バカなこと(…と当時は思っていた)をして罪悪感はあったが、我慢できなかった。反応式だけでもこんなに興奮するんだから、さぞ実物は…。
夢は膨らむばかりだった。
私はむっつりだったのかも知れない。
中2のとき、水の動きをハイスピードカメラ(?)で撮った特集番組を偶然みて、感激のあまり表面張力に浮気したが
中3の高校見学で、硫黄の同素体作りをやらせてもらい
その時の先輩の言葉
「単斜硫黄の結晶を作るには化学のセンスが問われますね」
を真に受け、マジになってタイミングを見計らい、めっちゃ綺麗にできたので化学熱が再燃した。(すぐ調子に乗る)
高3の教室では黒板にベンゼンの仲間が山ほど並んでいて、「これは高校に行くしかない」と思った。入学したら化学部に入ると決めた。
無事に第一志望へ合格し、化学部への入部届を書いた。入部には親のサインが必要だった。
…許可は下りなかった。
「そんな地味な部」
それなら部活には入らずに勉強する。そう言うと、
「お前は何のために高校へ行くんだ。頭がおかしい奴だ」
そう言われた。心が揺らいだ私は、親の勧めた部活に入った。結局そこで部長をやり、インターハイまでレギュラーで行った。
入学してすぐに文理選択があった。理系しかないと思いきや、文系と迷った。
実は私には夢があった。
特別支援教育に携わること。
中学のとき、部活でジョギングをしていて、特別支援学級の先輩と仲良くなった。真面目に走る部員がほとんどいない中、毎日一人で走っていたのが面白かったのだろう。
「○○さんいつも走ってえらいね」「走るの大好きなんですよ~」という会話をよくした。
「部活頑張っててえらいね」「学校毎日来てえらいね」と、ちょくちょく声をかけてくれるのが、当時生きているのが苦しかった私にとっては、救いだった。
次第に、色々なたわいない話もするようになり、たまに支援学級へ遊びに行くようになった。
彼女の友達とも仲良くなって、美術の作品を自慢されたり将来の夢の話をしたり恋バナをしたり、した。
先輩たちのことは、先輩だから、当然「○○先輩」と呼んだのだが、
それが実はすごく嬉しかったらしい。
先輩たちが卒業する直前、
「ことばの教室」に通っている先輩がそう言ったのを聞き取れず、先生に通訳してもらった時に初めてそれを知ったので
もっと呼んであげれば良かった、と後悔した。
あの頃に先輩たちと仲良くならなかったら、本格的に精神を壊していたと思うから、心から感謝していて、
厳しい現実も知ってはいたが、恩返しの意味も込めて、特別支援の場に行きたいと思っていた。
でも最終的には理系に行った。
親に罵倒されて折れるような夢は、本気じゃないのだ。
幼少期から高校でもずっと、とてもじゃないが周りに言える家庭環境じゃなかった。
一見恵まれていて理想的かも知れないが、油断すれば叩きのめされ徹底的に否定されて育った。変な宗教に巻き込まれたり、隠し事も多く、近所との関わりも難しかった。
それが影響したのか、高校生になってから精神的に崩れた。外にいる時は大丈夫でも家に帰ると酷かった。
情緒不安定で記憶が飛ぶようになり、成績は落ちた。
自傷が再発し、精神科を受診するか迷ったが、世間体が第一の親にはとても言い出せなかった。
部活でメンタルトレーニングを学び、それで何とか落ち着いていった。
高校3年の秋。進路を決めなくてはいけない。
しかし、何の希望も見いだせなかった。親の言う「最低限の大学」(難関国立)にはとうてい届かない成績。
やりたいことなどない、というか、死にたい。
そんな感じだった。
そんなある日。
化学の授業で先生が「物質は温度が高い方がよく水に溶ける。ほら、温かい炭酸ドリンクはないだろ?」
と言った。
それを聞いた瞬間、私の中で何かが燃えた。
「コンビニにホット炭酸が売ってます!」
掃除時間、廊下掃除を放棄して化学準備室に押しかけ、先生に食ってかかった。
化学26点の生徒の猛抗議に、先生は大爆笑。
「それはインチキだ」「セブンにあります!ジンジャー風味で裏に炭酸飲料って書いてありました!」「本当に?」
先生は終始 笑顔で語り合ってくれた。
ほとんどジンジャーでごまかしてるんじゃないかとか、高圧をかければいけるかもとか、
開けた瞬間に「プシュッ」と鳴れば炭酸の基準クリアなのかもとか
馬鹿みたいな言動にも付き合ってくれた。
……楽しかった。
翌日、廊下で先生が声をかけてくれた。
名前を知っていただけでも驚いたのに、なんと、ホット炭酸について調べてくれていた。
「君はどこに行きたいのかね?」
そう聞かれた。一応○○大学だけど、ヤバいんです。と正直に答えた。
「それじゃあ、頑張らなくちゃな」先生は笑った。
「そこの応用化学科は、なかなか設備が良いよ」
去り際に、そう言い残した。
これでそこに合格すればなかなか良い話だと思うが、そうもいかない。高校時代のツケが回って、浪人した。
今度こそ、「最低限の大学」に行くために勉強している。
志望は、応用化学科。
何だかんだ言って、最初に戻ってきたなと思った。どんなに成績が悪くても、状況が悪くても、小学生の時の感動は身体が覚えていた。
もっとまともな環境に生まれたかったと、泣きたくなることもまだある。
でも改めて考えると、
私は好きなことを目指せている。
私は、幸せ者だ。
「お前がそんなに化学が好きなんて知らなかった」
この間、親にそう言って馬鹿にされた。親に好みを黙っているなんて卑怯者だと罵られた。
何とでも言ってくれ。
貴方の希望する大学には入る。必ず合格する。
大学に行ったら実験三昧したい。あと、時間をうまく作ってバイトをする。お金を貯める。
誰かの役に立ちたい。新しい物質、材料を作って、何かの役に立ってみたい。
実は飛行機も好きだから、それに関われるとかなり嬉しい。部品の金属を開発するとか。
……まあ、夢は夢だ。
いつか書いた海王星は届かない憧れだが、化学は触れられる喜び。
せっかくだから、また前を向いて、生きよう。
本当はこういうことを書いている暇はないのだが、この頃また色々あって落ち込んだので、思い切って書いてみた。
この機に宛メも、しばらく封印。
欲にまみれた小瓶でごめんなさい。
最後の追い込み、頑張ります。
2014.11/2
名前のない小瓶
36984通目の宛名のないメール
小瓶を1128人が拾った
保存0人
お返事が届いています
リツカ
とても素敵な小瓶でした
その後いかがお過ごしでしょうか
ななしさん
かっこいいな~
…と思う反面ちょっと怖いです。
小瓶主さんがというわけではなくて、大学を目指すということは小瓶主さんみたいな強い意志を持つ人たちと戦わなくてはいけないということで、私にはそういう何が何でもという具体的なビジョンはないので。
でも、世界は広いんだな、私なんてまだまだだな、と思えました。また頑張れそうです。
お互いに頑張りましょうね!
れいん
ななしさん
まだ高2な私ですが
時間は無いんだなと気付かされました。
私も頑張ります。
主さんも頑張ってください。
高2理系女子
ななしさん
私はそこそこ親に恵まれながら夢が無いや。親交換してあげたいくらい。夢がある人は応援したくなるよ。頑張って。君なら大丈夫。どうか行きたい学校に受かりますように。
ななしさん
あなたのことを面白くて素敵だと思う。
そんなに好きなものがあるなんて凄いことだから。
あなたと友達になって側にいたら楽しいだろうな、と本気で考えた。
またいつか、お話聞かせてほしいな。
応援しています!!
ななしさん
化学面白いよね! 超面白いよ!
独り言ではあれ、長くても一気に読めたし多分文章力もあるなw 何でもありか!
このお返事は読まなくていいけど(受験頑張って下さい)
学問ほどクリエイティブなこともそうないし、新しいことにどんどん挑戦したい小瓶主さんみたいな方の姿勢こそ大学生らしいと思う ……他人ごとながら
ただ色々と苦労はあるだろうね、書かれていないことでも
体を大切にしながら楽しんでいって欲しいだよ
化学面白いよね!!
ななしさん
長文失礼します。海王星の人でしたか。今これを読んでいて、なんとなく、一度読んだことがある文章でような気がしたのです。
あなたが海王星や、化学に見つけた面白さとか、感動とかは、文章を通して読み手にダイレクトに伝わってくる気がします。海王星の文章を読んだとき、私は感動してしまって、また読めるようにと保存したほどです。
海王星にしても化学にしても、本当に好きじゃないとこんなに生き生きとは書けないだろうなあと思います。
私は高一です。私も化学が好きです。しかし、最近になって計算が難しくなって(なんといっても、算数から躓きかけているような人間だったので)だんだん楽しいだけではなくなりました。でも、あなたの文章を読んで、好きなんだから頑張らなきゃいけないなと強く思いました。文章から、化学は本当に楽しいのだということが立ち上ってくるようでした。
あなたのことを陰ながら、心から応援しています。追い込み頑張ってください。
まとまらない文章ですみません。
ななしさん
ne.jp.
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。