肺に思い切り冷たい空気を吸い込み
もやもやした気持ちと共に吐いた。
肌を切るような冷たい、雪混じりの空気は
どこか清浄に感じさせる
夜、3時半。
街が静かに寝入っている中私は白く浮かぶ雪と共に自転車を漕ぐ。
頭に浮かぶのは記憶。
一年前だったら部屋に彼がいて、暖かい部屋で仕事を労ってくれた。
今は、もういない。
部屋は冷え切っていて、誰もいない薄暗い部屋にむかってただいまと呟いた。
「おかえり」、わたし。
今日も頑張ったね。
たとえ誰にもおかえりと言ってもらえなくても
たとえ誰にも苦労を労ってもらえなくとも
そばにはいつも、わたし自身がいた。
人生のパートナーである自分自身。
寒くて、孤独な夜を暖かくするのは自分。
わたしを一番大切にすることができるのも自分。
そう思えば
幸せって案外近くにあるんじゃないかと思う。
夜3時半。
そう考えつつも
孤独を感じて
冷え切った空気を
涙で、濡らす。