恋した人が役者になった。
初舞台。
大きな拍手の中、笑顔で手を振っていた彼。
仕事が落ち着いた頃、一緒に食事をした。
「来てくれてありがとう」と言った彼はあの頃と変わらなくて。
「またね」と言って握手してくれた手のあたたかさに涙がこぼれそうになった。
がんばってね、応援してるよ。
いつだって、君の一番のファンでいるから。
せめてそう言えたらよかった。
また、後悔。
思いを伝えられなかった、あの頃と同じ。
君はステージ。
私は客席。
君からじゃきっと私は見えない。
でも私から君はよく見えてるよ。
大好きだけど、それを素直に言えないから。
夢を叶えた君に、客席から拍手を送ります。