新年度。
昨年の授業で提出したものが優秀作品のひとつに入ったと先生から知らされた。
自信がなくて結構嫌だった授業で、それでも徹夜でこだわり抜いてやった課題だった。
講評でも特に何も言われなかったし、その時は少しの悔しさはあったものの、半年経ってたから忘れてた。
想定外のことで認められたのが嬉しかった。
自信がない中、頑張ってやったものが評価される。
そういう経験が私には今まで無かった。
春休みから始めたバイト。
厳しいけど良い人で理不尽に怒られる事はない。
ちゃんと正論で納得できる叱り方をしてくれる。
前のところで働いていた時の出勤前のような憂鬱は無い。
春休みの最後に旅行に行った。
冬からずっと温泉行きたかったから本当行けてよかった。
桜を見ながら露天風呂。
幸せだった。
新しい美容室に行ってバッサリ髪を切った。
凄く皆から似合うと言ってくれて照れた。
あれ?
私、こんなに活発だったっけ?
こんなに今に生きている。
それが出来てる。
あれ、前は私心に鉛が入っていて、
何をするにも大きな踏ん張りが必要で、
何もしたくない、しないのが普通だった。
あの時は泥底から上を見上げて、
軽快に動く人たちを見ては、どうしてそんなに動けるのかわからなかった。
私は皆と何が違うのだろうと。
人との接し方もわからず、人に踏み込むのが怖くて壁を作って、
前にも後ろにも進めず途方に暮れていたあの時。
「生きたい。」
そんな風に思えるようになったのは、
自分がここにいていいのだと知ってからだ。
その場所まで、色々な作品や人が連れて来てくれた。
生きることを自分で許せたとき、小さな泡のような希望がふつふつと上がってくるのだ。
こんな日々が来ると思わなかった。
生きていて良かった。
あの時の自分、ありがとう。