父のことが嫌い。
父はひどい人だ。
いつも怒鳴っている。
奇声を発することもよくある。
ほとんど毎日、
俺の言うことが聞けないなら出て行け、
このメス豚、ブス、バカと言われる。
父はことあるごとに
死んでやる、
恨んで出てきてやると言ってくる。
でも一向に死ぬそぶりはない。
本当は誰よりも死にたくなくて、
誰よりも生きることに
しがみついているくせに。
何も努力しないし、何もしないくせに。
父と母は毎日喧嘩している。
父はヒステリーで、
言葉で人を傷つけて、
約束を守れなくて、
恩着せがましくて…
私は父にうなじを叩かれた。
そのことを父は覚えていない。
突き飛ばされたり
蹴られたりもした。
やっぱり父は覚えていない。
たいてい暴力を受けるときには暴言もある。
私が頑張ってきたこと全てを否定してくる。
金の無駄だった、お前のせいで金がない、
働け、ただ飯食ってんじゃねえと言われる。
そういうひどいことをされると
私もヒステリーを起こして
物を壊してしまう。
そして父にそのことをさんざん蒸し返される。
物壊しやがって、死ねと言われる。
私は父に暴言を吐いてしまうこともある。
父と同じように口汚くわめいてしまう。
そんな自分が醜くて、情けなくて、
本当に悲しくなってくる。
私は父の子だと、この人の子なんだと思う。
ヒステリーを起こしたり、
どこか冷たかったりというところが
父に似ていると思う。
本当はそんなこと思いたくない。
でもやっぱり似ていると思ってしまう。
本当に嫌だ。こんな人が親だなんて。
父にも、お前は俺に似たんだ、
だからお前は駄目なんだと言われる。
父は私が生まれる前に浮気をした。
だから父にとって私は
あまり望まれた子ではなかったのだと思う。
実際父は、
子供なんか欲しくなかった、
私の母がどうしても子供が欲しいと言うから
仕方なくと言っていた。
不妊治療もしたそうだ。
原因は父にあった。
私はそれを聞いたとき、
生きる気力がなくなっていった。
そしてお前はブサイクだ、
スタイルが悪い、胸がない、
太ってきたな、尻が小さいと言ってくる。
セクハラである。
本当にやめてほしい。
父は仕事をしていない。
履歴書は辞めた仕事がずらずらと並んでいて
書ききれないほど。
もう働きたくないと言ってずっと家にいる。
私が中学生のときは
母のパートで私たち家族はご飯を食べていた。
私は今年、高校生になった。
母も今年から正社員になった。
私の学校はアルバイト禁止だ。
しかも勉強に部活に忙しいので、
私は働いていない。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
私は大学に行きたい。
大学院にも行きたい。
研究したいことがあるから、
大学教授になりたい。
一生勉強がしたい。
国立大学か、
奨学金が給付型の私立に合格しなければ
お金が無くて大学には行けないだろう。
私は頑張って公立高校に合格し、
今通っている。
自称進学校で、偏差値は微妙。
ぼやぼやしてると、どんどん成績は下がり、
下手すると浪人なんてことになってしまう。
そんなことになったら困る。
浪人するのにもお金がかかるから。
父のひどい仕打ちに負けたくない。
父に涙を見せたくない。
悔しい。
友達の家の話や、先輩の家の話を聞くと、
皆のお父さんが羨ましくて羨ましくて、
悔しくて悔しくて仕方がない。
早くこの家を出たい。
この家を出て、早く自由になりたい。
自分でお金を稼いで、
家族なんかいらない、1人で生きていきたい。
でも、
それでも誰かに愛されたいし、
愛したいと思ってしまう。
虚しい。
碧弥柚來(あおみゆら)
