最近思うことポエトリー風。
土砂降りの雨に気づかないまま外へ出た
頼りない昔の傘なんて要らないよ
これから海を越えていくのなら
開かない箱の中の思い出や
古い選択肢を取り出したいんだろ
鍵の掛かったその箱の前に座って
君はまだ箱の外側に閉じ込められてるの?
一人ぼっちの星が瞬間に瞬いて消えた
光の速度でも追いつけないような一瞬だ
穏やかな暗闇を強引に染める月のような
力強いものには気づけない一瞬だろう
あり得るべき全ての意味は
一つの点だけでは起こるはずもない
もう居ない星を繋げて
うろ覚えの星座を空に書いた
名前をつけてあげよう
君の物語はもう始まっている
君がそれに気付いたときから
雨上がりのハイウェイのずっと先の虹の根本に
あらゆる人生の答えがあるのだと
いつか君は僕を騙して笑ったね
僕はまだ信じているけど
これまでの全てがメッセージだとしてもだ
ポストを太らす未開封の山を
破いていく順番は
君の好きに選べば良いだろう
涙の代わりのため息を集めて
上昇気流が雲と雨を呼び
摩天楼を切り裂く風になって
若いカモメを強引に後押しする
孤独なヨット乗りは広い海で
自信なさげな翼を目にするんだ
幾らかの航海と幾らかの後悔の後に
古い友人への手紙となるだろう
長い長い手紙だ
それは再び風に乗って届くはず
きっと
僕の物語はすでに始まっている
一人だって事に気づいたときから
みんな一人だって気付いたときから
祈りを言葉に込めること
そして言葉を海へ流すこと
それが誰かに届くこと
その誰かの名前も顔も知らないこと
行き交う電波が返事を届けてくれること
それに名前も顔も知らない誰かを
どこかの誰かを思う祈りが込められていること
僕は、時々、少しだけ泣きたくなる!
僕と君とは
出会うことは無いのだろう
交わらない二本の軌道は
遠ざかっていくだけなのだろう
生きていくことの暗示のようなそれを
これからもなぞっていくのだろう
これがゴールだと何度も何度も
僕らは決めつけながら走って
だけどそれは希望のハリボテで
悔しさで地面を蹴っ飛ばして足を挫く
全てを肯定することは世界を雪原よりも白く
全てを否定することは世界を墨よりも黒くすることだと
誰かに教えてもらったね
白と黒以外のものがこの世界に溢れているという事も
何処かの誰かの君
僕のパラレルのような君
その存在がどれだけ僕を励ましているのか
君は知っているのかい?
一人で震える夜の布団の中で
細く脆く消えかけの糸のような繋がりが
明けそうにない冷めた夜を何度も終わらせたことを
君の物語も僕の物語もずっと続いていく
僕らが生まれたときから
神様がペンを置くまで
ならば僕らが出来ることは
身体の芯の中の熱に従って
その心の在り方を裏切らずに
無味乾燥な招待状を無くしてしまっても
命を失くしてしまわないこと
言葉を失くしてしまわないこと
それが生きているという事だと
僕はそう思う。