手のかからない子について。
大人は、どうしても目立つ子・手のかかる子に時間を割くことが多く、その分、手がかからない子に甘えがちです。
やんちゃな兄を叱りつける反面、大人しく出来る弟をついつい放置してしまったり。「妹が先でいいよ」なんて言う優しい姉の言葉に甘えて、わがままな妹の要求を優先してしまったり。
学校の先生も、よく言うことを聞く子についつい雑用やリーダー職を任せてしまったりすることが多々あります。
それは仕方ないとは思います。
やんちゃっこをほっといて、何か問題や事故があったら大変だから。
ただ、時間を割けない分、手のかからない子には特別な時間をあげて欲しいです。
短い時間でも、親と2人きりでの外出とか。職員室で他の先生の前で手ばなしで褒めてあげるとか。
そんな特別扱いをする特別な時間を設けてあげて欲しい。
どうして私がこんなことを考えたかと言うと、ある学童保育にお手伝いに行ったことがきっかけです。
学童は親のさまざまな都合で、家にいられない子を親の帰宅時間まで預かっている場所です。
たくさんの良い子がいました。親の都合を思いやり、友達とはいえ他人ばかりの中で良い子で待っている。
良い子でいることは大人にとって非常にありがたいことですが、子供にとっては少なからずストレスがかかることです。
いい年した大人でさえわがままが抑えられないことがあるのを考えれば、小さい子がルールを理解し、保護者の目がない所でもそれをきちんと守るということにどれだけの高い意識が必要か、想像がつきます。
ですが、そのストレスがきちんと報われる機会は、実はなかなか無いように思います。
「良い子ね」と言葉だけ投げていないでしょうか。
「良い子だから1人でも大丈夫」と、信頼に見せかけた放置をしていないでしょうか。
私は学童で感じたのです。ついつい目立つやんちゃっこばかりに目をやってしまう自分を。他のスタッフも同じです。
大人しい良い子と2人きりになった時、その子のバッグが可愛かったので褒めてみました。
するとぱっと笑って、ものすごい勢いでしゃべるのです。最初の印象からは考えられないほどに。
その様子に、こんな風に気持ちを聞いてもらえる時間がこの子はとても少ないのだろうな、と感じました。
手のかからない子は、どんな扱いでも文句を言うことはないかもしれません。
でも、文句を言わないからと言って、何も感じていないということではありません。
聞き分け良く頷いてくれる良い子に、大人はあまりに甘えすぎているのではないか…そんな風に思えてなりませんでした。
手のかからないお子さんや生徒をお持ちの方、どうかその子にきちんと光を当てた特別な時間をあげて下さい。
手のかからない良い子の方々、たまには他人に譲らずに、自分の思うように行動してもよいのですよ。
子ども一人一人が、あたたかく優しい気持ちで過ごせればいいなと、思います。