性への忌避感と他害感情の話。「嫌悪」という名の「とらわれ」。保健体育以外で全触れることのなかった「性」

どうしようもない性への忌避感と他害感情の話。「嫌悪」という名の「とらわれ」。

大学入学まで“保健体育以外で”全く触れることのなかった「性」。
BLや、彼氏ができた（私ではなく）ことで騒ぎ立てる高校時代の友人たち。疎外感に苛まれていたが、意味を教えてと聞いても「早い」と言われあしらわれてしまった。「エロいこと」とすら察しがつかなかった無知の初心でした。
彼氏と多目的トイレに入った友人を見て騒ぐ人だかりを見て「何を騒いでいるのやら」と本気で思っていた。
親の発する性的なネタも全く理解できずにいた。
友人はこの有様なので親にきいたこともあったが、性的なことははぐらかされ教えてくれなかった。

そんな私にも転機が訪れる。
それは大学の友人が勧めたBLゲームだ。性に興味はなかったが話が面白いとのことで、エロというよりストーリーを読む感覚ではじめた。
そこで初めて「性」を知った。少しずつ辞書で調べ始めた。色々なエロコンテンツを見た。
あの子もあの子もこんな声を上げて理性を無くしていたんだ。少しだけエロに“嫌悪感”が生まれた。この時は男女間の性愛嫌悪でしか無かった。

しかし芽を出した“嫌悪感”は思いの外厄介であった。
ドラマ番組を見ていたときのこと。
夫でない男を部屋に引き入れ、ベッドで二人裸に。
何を意味しているのかが分かってしまった。気持ち悪い。そう思ってしまった。
そして、夫に弁解する女は「寂しかった」と言った。テレビの中の女に大人げなくも本気で怒りを覚えた。
元々悪人には異常に怒りを覚える質であったが、これはかなり苛立った。
「性欲」は人を狂わせる。そう感じた。"オンナ"が嫌いになった。

そして、世にはびこる性犯罪。これはダメ押しだった。
こんな目にあっている人が少なからずいる。しかも「性欲は抑えられない」と本人たちは言っているじゃないか。
その思いは「（男性は有害ではないが）“オトコ”は凶器」と認識するに十分な情報だった。
そして自分も「される側」であるという現実に本気で恐怖を覚えた。

こうして私は"オトコ"も"オンナ"も嫌いになった。

ここまでは、身近な他人へは向かわない感情だったので良かった。
しかし、大学の彼氏いない歴＝年齢の友人と遊んでいたとき友人の発言に苛立ってしまった。
「彼氏作りたい、性行為したり恋人の体験をしたい」
苛立った原因は、当時は「恋愛できないから嫉妬してる」と思い込んでいたが今ならわかる。
「疎外感と嫌悪感」だ。
「お前も”オンナ”になるんだな。私はまた外されてしまう。そっちにいかないで、綺麗なままでいて」そんな気持ちだ。

読む作品・二次創作にも傾向は現れる。
同意のある恋愛関係や優しい恋愛関係を嫌うようになった。男女カップリングでも同性カップリングでも嫌いだ。
性欲が伴う時点で好意が嘘くさく感じてしまう。
一昨年辺りに流行ったアニメ映画群も駄目。
見るのは男女ならバディもの（刑事ドラマに多い）、同性でも恋愛関係にならない作品になった。
”きれいな性欲”に突き動かされた顔をしたキャラクターをみると吐き気がした。
「頼むから”オトコ”や”オンナ”にならないでくれ！穢らわしい！」と心のなかで何度叫んだか。


年を経るにつれて「性欲」が生まれたが、それもだいぶこじれていた。
”オトコ（オンナの場合もあるか）”に責められて喘ぐ”オンナ（略）”は汚いけど、瀕死で息を切らして喘ぐキャラクターは本当にかわいい。”血”は”性”を綺麗にしてくれる。
もちろんファンタジーの話だよ。現実の人間が傷ついた姿は悲しくて見ていられない。
誰かが言ってたね。「エロス」を抑圧したまま生きると「タナトス」に喰われるって。
その通りだよ。


だから、これから子供を育てる人たちには、子どもたちに適度に性教育を行ってほしいな。
それか、学校で性教育を増やすか。
”死”と”性”がごっちゃになる前に、”性”を独立させてあげてほしい。

正直言って今、幸せだけど苦しいんだ。
確かに「性欲」は自分を活き活きとさせた。だけど、実現不可能な「性欲」を抱えたまま墓場まで向かうことになる現実がある。
実現不可能と思ってるのは自分だけ？そう言うかもしれないが、自分の嗜好はハード専門なもので、現実の人間が自分のせいで酷く傷つくのは嫌で仕方ない。ドSというレベルじゃないし、人を責めるのは苦手だ。むしろひどいことしたキャラクターにいつも感謝しつつ謝ってるくらいだ。

こんな欲を抱えた人間はこれ以上増えてほしくない、だからこうして小瓶を流したんだ。