死のうと思っていた4月がくる
決めたのはいつだったろうか
3年前か その頃だった気もする
高3になる前の春休みに死のう
そう決めた時、
私には久々に生きる希望がわいた
そこまで生きれば死ねる
なら生きよう
そうして今日まで生きてきた
そして、いま、その時が限りなく近づいている
死ぬと決めてから
思い残すような事が無いようにコツコツと
小さな幸せを拾い集めて生きた甲斐もあって
今までにないほど
安らかな気持ちになっている
やっと終わる
やっと解放される
もう考えなくていい
悩まなくていい
何もしなくていい
肉体に餌をやることも
餌を砕くための歯を磨くことも
汚れた皮膚や髪の毛を毎晩洗うことも
もうしなくていいんだ
でも
自動的に
ぽっくり心臓が止まってくれるわけではない
それならいいんだけども
ひとつの肉体の息の根を止めるのは
大仕事だと思う
最後の大仕事
正直いって面倒
死ぬことすらめんどくさい
自然と最後の呼吸を吐いて
スっと死ねればいいのに
どうして自死はこうも面倒なのか
殺してほしいとか、そういう話じゃない
殺さないでほしい
殺されるというのは、自分の命が
殺した誰かのモノになる事だと思う
それは嫌だ
私は私でいたい
そして昨日
最後に自分の1番好きな人に
会う、というか、見に行く、というか
とにかく、最後に顔を合わせてきた
私はその人以上に愛せる人間を
この世に見つけられる気はしていないし
見つけようとも思っていない
でもその人は、私の存在を知っているのか
定かではない
雲より上にいる人で
とても手は届かない
もしその人と結ばれることができれば
喜んで生きる
でも現実は違う
私は群衆のひとりに過ぎない
その人は
「また会おうね」
と、言った
目を合わせて、なにか
私の心のうちを
見透かしているような気迫で
また会おう、そう言った
それが私を生に繋ぎとめている
死なせてくれない
彼が私を死なせてくれない
一方的な思い込みであることはわかっている
でも私はそう感じた
まだ迷っている
このまま惰性のように生きて苦しむか
肉体から解放されるか
生きていれば、死ねばよかったと
何度も後悔する時は来ると思う
死んだら後悔も何もない
きっと
生きていれば、ただ生きているし
やっぱりダメで
死んでしまったら
ただ死んでいるだけだと思う
人生なるようにしかならない
その時々に起きたことが全てだから
何が起こるかもわからない未来に
囚われて今をもがく必要は無いし
変えようのない過去に固執して
湿っぽく浸る必要も無い
ただ、今を生きるだけ
未来は誰にもわからない