好きなひとたちに、嫌われたくない。
憧れたひとたちに、見損なわれたくない。
のろまで馬鹿で、なにもできない奴だとばれたくない。
その一心で、嘘をつき続けてきた。
自分にも、まわりにも。
本当の自分は誰より頼りなくて、
なにより自己中心的で、卑怯で、卑屈で、
ちっとも面白くなんかなくて、
なんとなく惰性で生きていて、
どうしようもなくつまらない。
でも、ばれてしまえば自分が好きな人たちはみんな離れていってしまう。
そんなのはいやだ。
この時間が嘘でも構わない。
一人はきっと、とてつもなく寂しい。
ばれてしまっても、
振り替えってもらえないのがわかっていても、
「本当はそんな奴だったのか」と蔑んだ視線に晒されても、
どうしたって追い付けない自分の惨めさだけが浮かび上がって、泣いてしまっても、
それでもなお自分は一人で追いかけることをやめられないだろう。
それは一種の呪いのようなもので、自分をいつわった代償だ。
そんなのはいやだから、
だからばれないように、今日も嘘をつく。
憧れた自分を作り上げて、
嘘でもって塗り固めて、
相応しい自分擬きを被って話す。
けど最近、わからない。
一体どれが本当の自分だったのか、
初めのころの自分は、本当に今と同じように感じ、話し、笑って、泣いていただろうか?
今ここにいる自分は、本当に「自分」なんだろうか?
ななしさん
この小瓶を読んでいて「まるで私の事じゃないか!」なんて思いました…。
嘘をついて、自分を殺して、塗り固めて、いつもの自分を作る…。
ある意味自分を殺した罰ですよね…。
私は、自分を何度も何度も殺しました。
自分を殺して隠す為に、心理学を独学で学びました。
周りに合わせて自分を作ってました。
なので、私は本当の自分なんてとっくに死んでると思っています。
作った壁に塗り混んであると思います。
私は、本当の自分を見つけたいなら、壁を壊して、割の悪い賭をするしかないと思います。
でも、見つかるのは死体だけだと思うので、結局苦しみが襲って来るだけだと思います。
要するに、「自分」なんてとっくに死んでます。