母が入院している病院から電話きた。
あんまりい状態じゃないって。
あとどれぐらいかなー
祖母の時もこんな流れだったけど、どれぐらい空いたか覚えてないや。
お母さんごめんね、
長年しんどい思いさせちゃって。
元気な頃からずっと、延命処置はいらないって私に言ってたのにね。
なんかね、死なせてくれないんだ。病院が。
延命しかしてくれないの。ウケるー。
看護師さんから聞いた話だから
私は直接聞いていないけれど、
お母さんが最後にはっきり喋った言葉、
「殺して」だったそうなのにね。
最初は会話もできたし、リハビリ頑張ってたし、
補助付きの車椅子移動だったのが手すりにつかまって歩くまで回復してたし、いつかお家に帰れるもんだと思ってた。
疲れちゃったんだろうね。
「夜中に突如暴れたから、過去の通院歴から判断して鎮静剤を打ちました」
確か看護師からそんなこと言われた。
その日から、完全に寝たきり。
植物人間というより、崩壊した感じ。
会話もできなくなっちゃった。
あんまり急だったからさー
最後のやりとりとか覚えてないや。
また来るねー
うんまたねー
ぐらいだったかな。
あれから5年ぐらい経ったのかな?
長かったね、もうすぐだね。
私一人っ子だし、お母さんの兄弟は知らぬ存ぜぬだったから入院費から諸経費から見舞いの体した物資運搬まで、全部私がやってきたんだ。
しんどくって、いつ死ぬのかな、
なんてぼやいたこともあった。
何の面倒も見ないおじに、お前最低だなと言われた。どっちがだよ。
ああでも、やっぱり私最低だ。
長くないかもって話で、最初に思ったの
寝たきりになったことで受給できた障害年金が打ち切られるのか、しんどいな
だった。
入院費とか病院で使う備品とか
もろもろの雑費に充てて、
ちょっとだけ余る額だったのね。
節約に頑張った月の食費、一人暮らし分ぐらい。
しんどいなー。
年金と同時に週2の病院通い終わるし
その時間で内職でもしようかな。
まあ今はともかく、なんか、
悲しいのか辛いのかよくわからないんだ。
涙もろいくせにこういう時は出ないし。
寝たきりになった時点で、
親孝行全然足りなかったなーって
すでに後悔しちゃってたし。
生きてるっちゅーねん。
何もできない事に変わりないけど。
最後まで利己的で申し訳ないけど
お互いに結婚を考えている彼氏があなたに会っておきたいと言っているので、
どうか月末までは病院で待っててください。
できれば、来月の年金支給日まで待っててください。
あー今更ちょっと涙出てきた。
結局金か。薄汚い薄情者め。
お母さんったら3桁の借金隠してたんだもの、金に執着するのはもう遺伝だよ、遺伝。
入院中に私が肩代わりして完済したんだよ、
私の人生における20代という期間の
半分以上を費やしてさ、結構頑張ったんだ。
許してくれ。ごめんね。次の休みにまた会いに行くね。
胸糞悪い長文でごめんなさい。
毒親でもなければ、お互いが元気なうちに親孝行しとこうね。
名前のない小瓶
66581通目の宛名のないメール
お返事が届いています
ななしさん
(小瓶主)
事後報告として……
この小瓶を流してから約1週間後、
母は容態が急変して亡くなりました。
小瓶を流してから、顔を見にいった2日後。
最期には間に合わなかったけれど
もう一回顔を見れてよかった。
あと4日持ちこたえてくれれば
彼氏に会ってもらえたんですが
間に合いませんでした。
その間に合わせられなかったことに
一番泣いてしまって、
泣くべきポイント違うだろーって
思ってはいました。
その代わり、彼氏は葬式と告別式に
参列してくれました。
最後の最後に会ってもらえてよかった。
ななしさん
(小瓶主)
お返事ありがとうございます。
バタバタしていて、遅くなりました。
すみません。
今まで、やって当然と言う気持ちで
動いていたので、気遣って貰うのは初めてで
読んでいたら泣けてきました。
私自身、母が入院中に別件で
自殺未遂を図ったことがありましたが
母が亡くなった時、私が向こうで待っていたら母が悲しむだろうなと思い
母を看取るまでは頑張ろうと生きてきました。
それが親孝行と認めてもらえたようで
すごく安心しました。救われた気分です。
母と同世代の方にこんなこと言って頂けるのは、ここならではでしょうね。
願わくばもう、あなたのお子さん方に
後悔する前に思う限りの親孝行を
して下さい、と心から伝えたいです。
私みたいになると後悔するぞー
ななしさん
貴方と同じ年くらいの子供が3人いる50代の母親です。
余りにも健気で、そして頑張り屋さんな貴方に、頭が下がります。
このサイトにたどり着いたのは、身勝手でいい年をして自立もできない、甘えてる自覚もない子供達に疲れ果て検索していたらでした。
私のことはさておき。
お母さま、ちゃんとわかっていると思います。そして「よく頑張ったね。本当にありがとう。苦労かけてごめんね」と。
そして逃げないで負けないで生きてきた貴方を誇らしく思っていると思います。
それは親にとっては一番の親孝行となっているはずです。
貴方は十分親孝行なさっていると思います。
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。