小さい頃は周りの大人は自分を守ってくれる存在だったり、尊敬の対象だったりしたけど体が大人になるにつれて他人が自分を見る目が変わってきた気がする。
私は女性で、女子校に通う生徒を狙う不審者と遭遇したことがある。
私の通う学校は、女子校だったからか普段から不審者情報が多かった。
誰が被害にあった、と発表されるわけでもないから実感がわかず、毎日のホームルームでお知らせされる不審者情報を他人事のように聞き流していた。
そしてある日突然下校中に不審者と遭遇した。
最初に感じたのは動揺だった。
フィクションでは女性がそういう対象としてみられるのは知っていたけど、いざ自分がそういう目で見られると違和感がすごかった。
次に恐怖が体の底からだんだん這い上がってきて、体中の血液を冷やしているようだった。
結果的にその不審者は追い払えたけど、どうして私に声をかけてきたのか。家まで知っているのだろうか。
ずっとぐるぐる考えていて怖くて眠れないほどだった。
家に帰って両親にそのことを話すと、母は「そんなの、女だったらしょっちゅうあるわよ」父は「大人の女になったってことだろ」と言ってきた。
私の通う学校の生徒を狙っていたので担任の教師にも報告した。
するとその男性教師は朝のホームルームで嬉々として、「○○さんが、不審者に遭遇しました。」と名前付きでクラスに面白可笑しく発表した。
クラス中で笑い声がこだました。頭の中でガンガン響いて、耳鳴りがした。信じられない。いままでのどの不審者情報でもだれが被害にあったか名前を言うことなんてなかったのに。
人が不審者と遭遇したことがそんなに面白いの?
今思うと、受験期だったから同級生は頭がおかしくなっていたのかもしれない。でもそれを差し引いてもこの教室にはモラルがないと思った。
ホームルームの後に、友達が心配して声をかけてきてくれた。うれしかったけど、冷えた血がこめかみでドクドクと鳴らす音がうるさくて、何を答えたか覚えてない。
次の日私は学校を休んだ。精一杯の講義の意思表示のつもりだった。母は何をそんなことで、といった様子だった。母にとっては不審者と遭遇したことは些細なことであり私が大げさに反応していると感じたらしかった。
私が一日欠席したことで担任はさすがに悪いと思ったのか、別な日に私に謝罪に来た。
「ごめんごめん、あの話したとき君がうつむいてたのはわかってたんだけどさーつい続けちゃった。」
わかっててやっていたのか、と思った。
同級生も、担任も、両親も、もう誰も信じられない。
その事件以降、私は人間が全く信じられなくなってしまった。
その後ずーっと私は病んでいた。死のうかなって何回も思っていた。(これはその事件のせいだけではないけど)
母が言うには、セクハラや不審者にあうことは女性なら誰にでもあることであり、取り立てて騒ぐことではないということだった。
この事件について私は身バレしないようにだいぶぼかして書いているけど、確かにもっとひどい性的暴行だとか、そういった被害を受けた人と比べたらほんとに小さなことだと思う。教室で受けた嘲笑の合唱がどれだけ屈辱的で辛かったかわかる人も私以外にいないだろうし、伝わりづらいだろう。
だけど私が本当に怖いのは、「女だから被害にあって当たり前」「とりたてて騒ぐな」という周りの態度だった。
このこと以外にもきっとこれからたくさんあるんだろう。女だったら家事をしろ、子供を産め、えらそうな口をきくな、おとなしくしろ、勉強する必要はない…
こういった性別による圧力は、もちろん女だけに限った話じゃないと思う。男性も男性だから力仕事をしろ、とか女が男の体を触るのはセクハラじゃない、とかスカートをはくな、とか嫁を養え、嫁をもらえ、いろいろ辛いことはあると思う。
どっちの性別の人にも言いたい。
「性別ってそんなに偉いの?私たちの意思より上位の存在なの?」
世界で起こっている事件から考えれば、私に起きたことは小さなことにすぎないだろう。だけど私が辛い、悔しいと思った感情はなかったことになんてならない。ここで黙っていることで、きっと私たちの娘や息子にこういったことは引き継がれていってしまうんだと思う。
性別で私を見ないでほしい。私も性別を通してあなたたちを見ないようになりたい。
私は毎日化粧をするし、爪も整えるし、髪も女らしい髪形にしている。「女なのに~」っていう言葉が怖いから。社会の暗黙の了解にずーっと従ってる。
でももうやめたい。つらい。やめたい!
毎日「女性らしさ」の問題に不正解を出さないように生きている自分が嫌だ。完全に女らしいことをやめたいわけじゃない。でも選びたいって思ってる。
こんなことを思ってるのは私だけなんじゃないかってすごく怖い。ネットでもフェミニズムとかジェンダーに関して言及するとすごくたたかれているのを知ってる。この文章ももしかしたら叩かれるかもしれない。
だけどだんだん世の中が変わっていってるのを感じるから、性別で人を縛らない社会にすこしづつなってほしいと願ってる。
もしこれを読んでくれたどこかの誰かがいたら、この文章にすごく嫌悪感覚えたかもしれないし、少しだけ共感してくれたかもしれない。もし何か感じてくれたのであれば、お手数ですが返事をくれたらうれしいです。
名前のない小瓶
67231通目の宛名のないメール
お返事が届いています
名前のない小瓶
ものすごく共感します。
私も昔電車で初めて痴漢にあった時、自分がそういった性の対象としてみられたことに対するゾワゾワとした何とも言えない嫌悪感が湧き上がってきて、本当に辛くて、怖くて、どうしたらいいのか分からなかった。
それからは満員電車では常に男の人に嫌悪感を感じ、なぜ性被害に遭う確率が高い女性として生まれてきたんだろう、性別なんてこの世からなくなればいいのにとずっと思っていました。
しかし、ネットなどで勉強していくうちに、世界にはずっと昔から性差別が存在してきていて、世界中で女性が男性からの暴力の被害や性被害にに遭い続けていることやそれがジェンダーのパワーバランスの偏りに帰因するものであることを学びました。
そして、そういった性被害の問題に声を上げ、立ち上がり、解決すべく闘っていこうとしている世界中の女性たちの存在を知りました。
性被害は、悪いのは100%加害者で、被害者が責められるべきことは一切ないです。
性被害を笑い話にするのはセカンドレイプといって立派な加害行為です。
その学校の先生は、今すぐに研修を受け性犯罪に関してしっかりと勉強する必要があるし、まず教師としてそういった行為をするというのは許されるものではなく、もう退職に追い込まれるべきだと思います。
とにかく伝えたいことは、あなたは1人じゃないです。
同じことで苦しんで、世界を変えようともがいている女性たちがたくさんいます。私ものその1人です。
一緒に性暴力に対する軽視と許容が無くなる世界の実現に向けて頑張っていきましょう。
ななしさん
賢い方だな〜って思いつつ拝読させていただきました^ ^
クラスの反応は、たぶん貴方がお察しの通り受験期でみんな神経質になってたのが影響していたかもしれません。
貴方自身、それまでの不審者情報を他人事に聞き流されていたのと同じように、貴方の事も他の人にとっては少し他人事になってたのかもしれませんね、受験期だから。
ただ、この男性教諭とあなたの御両親の対応には心底ガッカリしました。
怖い思いをした当日なんて、身体中がガクガクして、怖くて心細くて、でも自分を奮い立たそうとしたり、色んな感情が渦巻いていたはずです。
だからこそ、男性教諭と御両親は、いつも以上にあなたの気持ちに寄り添い、貴方の心が恐怖から解放され、少しでも安らぐ温かい言葉を貴方に伝えて欲しかった。
怖かったね
もう大丈夫
無事で本当に良かった
そういう言葉を何度も何度もあなたに掛けてあげて欲しかった。
「女性ならよくある事」なんて、全く関係ないんです。
貴方が無事で本当に良かった。
名前のない小瓶
全てに、共感です。
私はおっさんと呼ばれることに慣れた
女らしくを捨てた者だと周りに思われてますが
実は、人の目や清潔感とか気にして生きてます。
それでも、女なのに、とか言われて辛いです…。
そして、周りの人!
特にご両親、そんな態度あります!?
よく言いますよね、警察ものとかで
何かあるまで動けない、動かない、
何かあってからじゃ遅い!っていうやつ。
あれですよね。
ご両親よ、
何かあってからじゃ遅いだろーが!
よくあること?ねーよ!
世の中てきにはあることでもな
自分の周り、近しい人、しかも家族がなんて
そうそうねーわ!馬鹿か。
なんもなかったけぇそんなこと言えるんだろーが!
てかそんなことよく言えたな?
物理的になんもないだけで!
あんたらの娘は怖い思いしとんぞ!?
お前らが精神的に守ってやらんでどーすんね!!
…乱文、失礼しました。
私は専門学生のころ、電車で障害者に
太ももを触られました。
田舎なので満員電車の痴漢、とは全く違って
ガラガラの夕方の席、ニコニコ一人でしゃべって
なぜか隣にきて触られました。
それまで、障害者のことは寛容的に
悪く思わないように生きていましたが
その一件で障害者が怖くてしかたありません。
ほんとに怖いときって逃げられないどころか
声出すとか無理だと知ったんです。
もう6年も前のことですが
思い出すと今でも胸が少し苦しくなります。
確かに、襲われたりしたわけじゃない、
でも本人からしたらものすごく恐怖で
ほんとに体が自分のものじゃないみたいになる。
ラインでやりとりの最中、
既読がついてるのに返事がこないことに
その相手からの着信で救われました。
車両移れと。
体が動かん触られとる、と伝えると
周りの人は?と言われました。
そこで初めて見回すと、見て見ぬふり。
大人の誰も何もしないどころか、見てくるだけ。
見るくらいならしてほしい
しないなら見ないでほしい
当時、余計気分が悪くなったことを思い出しました。
なんとか車両を移ることができて、
次の駅で障害者は満面の笑みで手を振りつつ降りました。
今でも顔と姿をはっきり覚えています。
怖い思いをしても、最終的には
女だから仕方ないってなるんですよね。
こういう経験があるので、あなたには強く共感しました。
長々と失礼しました。
ラピス
少し、考えすぎではないかな、と思いました。
確かに、不審者に遭うことが当たり前とか、そんなに騒ぐな、という言動は被害者への態度としては不謹慎です。
私は20台後半ですが、私の同年代の友達には不審者(痴漢)に遭ったことがない人もいますよ。
かといって、その子に魅力が無いのかというと、そうでもなくて、普通に彼氏もできる子ですよ。
ちなみに、あまり身なりに気を遣わない子(髪がボサボサとかいうことは無いが、化粧とかヘアスタイルとかネイルとか特にやらない)も身近にいますが、別に女を捨ててるとか全然思わないです。その子はとても柔らかい雰囲気で、とてもかわいらしい子です。
まだ若くて、多くの人と触れ合ったことが無いだけだと思いますが、たまたま貴女の周りにそういう考え方の人が多いだけで、私含め、私の周りは「女だから」でなく「○○ちゃんだから」と個人で人を見る人が多いです。
これから、多くの人に会って、多くの価値観に触れてほしいと思います。
もしかしたら、自分で自分を檻に閉じ込めているだけかもしれませんしね。
名前のない小瓶
今あなたは守られたカゴから外に出る時期に来ています。
学校も未成年という言葉もあなたが大人になるまで、なるべく間違いが無いように守られた仮想空間です。
これから大人になっていろいろと知ります。
世界の残酷さや、愛の尊さ、大切にされる喜びや、危険から身を守らなくてはいけないことを学びます。
貴女におきてしまった事は、残念な事ですが、その空間がなければ、もっと被害者が出たかもしれません。
ごく少数ですが、犯罪者もいるのがこの世界です。
良い人も沢山います。
自分を守る事を考えてください。
また、毅然とした態度でいてください。
性別についてですが、生物として男と女は引かれ合うのは普通の事です。
普通の人は、子孫を残すためにパートナーを見つける事をします。
ほぼ全員です。
興味がなければ、態度で示してください。
ですが、それが世の中から無くなることはありません。
あなたも今回の"くだらない変質者"のせいで、影響され過ぎないでください。
周りにそんな人はいないはず、極少数のキチガイです。
貴女には貴女に合った異性が必ず現れます。
その時わかります。
今回の事は残念ですが、みんなそんなに大事にしないのは、貴女に今回の悲劇を早く忘れて欲しいから。影響されないで欲しいから。
いろいろと考えてしまって、『性別とは』まで来てしまっています。
貴女はまだ大人が作った子供の為の仮想空間の中です。
小石につま付いただけです。
それを"将来"笑い話にするか、運命の出会いにするかは貴女次第です。
気を付ける事は大切ですが、影響されないでください。
貴女が大人になってから、"変出者の影響"で誰とも結婚せず性別を超えた人になってしまったら、その変出者は貴女の運命の人になってしまいます。
『くだらないから笑い飛ばせ。』
みんなもそう思ってるはずだよ。
良い恋愛が待ってるから、お洒落して、綺麗になる努力だけは忘れないで。
名前のない小瓶
性別なんて関係ない。
あなたはあなたです。
他の誰でもないあなたです。
あなたは性別なんて気にせずにあなた自身のやりたいことをすればいい。
あと、不審者にはお気をつけください。
念のためスタンガンとかを持っているのがおすすめです。
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。