大好きなボカロPさんがいた。有名な方だったからわかってしまうかもしれないけど名前は伏せる。「いた」とか「だった」とか形容するのはもう今はいなくなってしまったから。思うところがあったので吐き出させてください。
その人は自分にとって初めて「その人のとある一つの曲が好き」ではなく「その人の曲が好き」と思った人だった。ボカロを好きになったきっかけの人だった。
マイリスト全部巡回して、特に好きな曲調のやつは何回もループした。その人の描くMVも大好きだった。
その人は別名義でグループ活動を始めていたのでそっちの曲も聞いた。グループで出された方の曲は今でも全曲イントロからラスサビまで覚えてる。歌詞もほぼほぼ。
偏見かもしれないけど、曲って恋愛ものが多いイメージがある。でもその人の曲は個人の時も、グループの時も、友情とか家族愛、魔法、復讐、そういう個性的なテーマが多かった。むしろ恋愛がテーマの曲は覚えてる限り1曲だけだった。自分は恋愛とかよくわからない人間で、ファンタジーが大好きだから、こんなにのめり込んだんだと思う。
MVに出るキャラクターがいて、そのキャラの名前も全員覚えていた。どの曲にどの子が出たのかも。
その人はある日全部の曲を消して引退した。グループの方の曲も全部。
本当は告知されていたようだけど、ツイッターなんてやっていなかったので自分にとっては突然だった。
それを知った時は泣いた。別に涙もろくない人間なのに。悲しさで泣いた中では親戚の葬式の次に泣いたと思う。
それが1年と数か月前の話。
辛かったのでその期間はその人のことを思い出さないようにしていた。
体感では5年くらい経ったような気がする。
何故今になって思い出して辛くなっているのかというと、そんなことで?と思われそうだけど、故事成語の意味を調べるという夏休み課題のせいだ。
その人の書いた歌詞には故事成語が多く入ってて、その課題で調べるようリストアップされていた故事成語がなぜか歌詞にあったものが多かった。
辞書をひいていて、自然にその歌詞の所のメロディーが脳内で流れだした。
もう心の整理はついた気でいたけど結局立ち直っていなかったみたいだ。
自分は運のいいことに、その人の曲をダウンロードしていた。もちろんその人が配っていたもの。それをしばらく使ってなかったパソコンから掘り出した。
データが壊れていて絶望しかけたけど、必死に修復して曲名の文字化けを変換した。
読めなかった文字化けがあの時ずっと聞いていた曲の名前に変換されたとき鳥肌がたって泣きそうになった。
一年以上越しにその人の曲を聴いた。
本当に好きだった。
最後まで何故辞めるのかは曖昧だったらしい。メンバーの体調不良をほのめかすことを言ってたらしいけど、もう自分の曲を聴きたくないと言ってたという話もある。アンチに傷つけられたという説もあったけど証拠もない。
もちろん曲を消したことを恨んだりなんてしていない。曲を聴かせてくれたことにとても感謝している。その人は自分の目標だ。
消えてしまったのだから巻き戻せないわかってる。覆水盆に返らずってやつかな。でも割り切ることもできなくて苦しい。
どれだけ悲しんでも感謝しても満たされない。
どうすれば立ち直れるんだろう。