名のない図書館へようこそ
本日届いた、物語がございます
もしお時間があれば、お試しで覗いてみませんか?
こちらの物語となります
では、行ってらっしゃいませ
壊れかけの物語
ドスッ
鈍い音がこの空間に響く
これは生きるためだ、仕方ない
今日も薄暗く普段ならだれも使いたがらない路地に入る
コチラの世界への入り口だ
音を立てずだれも気づかないような気配で
歩いていく
俺はコチラ側に生きる人間だ
君も知ってるだろ?
世界の裏側ってやつ
金属製の遠距離武器を今日の獲物に向ける
相手は俺と違う目をする怒りに、もしくは悲しみに満ちた目
少し羨ましく思う
ドスッ
倒れる音が響く
今日は何度この音を聴くことになるのだろう
想像するだけで気持ち悪い
俺は普通に戻れないなら
コッチで足掻くことをしない
無駄に体力を消費するだけなら
ただシゴトをこなせばいい
最近、オモテ側仲間に不審がられている
面倒臭い
こんな心がない、優しさもない、取り柄もない、そしてウラ側の俺に
なぜ優しさなどみせるにだろう
心配なんてするのだろう
俺はこのまま歩いていけば
いつか仲間に被害が出るにではないか
不安だ
仲間に被害が出たら自分の手で仲間を殺すことになるかもしれない
俺にあるかはわからないが情が出てしまったらオワリだ
だから、そろそろ戻れない世界から
足を洗わないといけない
できるだけ早く
なんなら今でもいいが、誰かもわからない奴が転がっているところで
自分も転がるのは嫌だ
望むなら、仲間のもとで…なんて
家で舞う花びらも綺麗か…
ゆっくり立ち上がるり
コチラ側から、ウラ側から離れるための一歩を出す
死に近い目が揺らぐその子は
壊れかけの物語
お帰りなさいませ
お楽しみいただけたでしょうか
ウラ側の世界での話、
壊れかけの物語でした
あなたはどのような物語
なんでもご用意いたしましょう
あなたの求める言葉はなんですか?