少し、お時間をください。
長くなってしまいますが、去年の話をさせてください。
俺の”好き”を伝えさせてください。
小学校の頃から、mzkは美術部に入るだろうと言われてきました。
周りの人は皆、俺のことを”絵の上手い人”と言ってきました。
それ以外も見てほしいのに、皆そこだけを見て、俺と接してきました。
俺はそれが嫌で、中学は吹奏楽部に入りました。
第一志望の楽器はテナーサックスでした。
かっこよくて、少し掠れた音が好きで、やるならテナーが良かったって思ってました。
でも楽器決めのとき、被ってしまいまして。
フルートは決まらなくてギスギスしているし、空いているのはチューバとユーフォだけ。
俺は揉め事を起こしたくなかったので、自らユーフォに移りました。
木管楽器は、姉のクラリネットで少し吹き方を知っていました。
リードはこうで、こんな感じで音を出す。
けれど、金管楽器を吹くのは実質初めてでした。
家に貰い物のトランペットはあるものの、汚い音が出るのみで、一回吹いてやめました。
不安が募る中、先輩に恵まれたおかげで、ユーフォを好きになるのに時間はかかりませんでした。
5月。
俺の学校の吹部は人数が多かったため、コンクールに出る人を決めるオーディションを行いました。
先生や部員の前で好きなエチュードと指定された簡単な曲を吹く、というものでした。
オーディションは見事通過。
コンクール出場メンバーに選ばれました。
7月。
ホール練習を行いました。
熱い中電車で移動。
楽器を運ぶときは本当に地獄でした。
他校との合同練習だったので、とても緊張しました。
ホールで吹くユーフォは、せまい部室で吹くユーフォよりも一段と楽しかったです。
先輩の音を聴いて、周りの音を聴いて、自分の音を聴いて。
とても楽しかった。
というのは練習中の話。
俺はこのホール練で、部活に出ることができなくなりました。
長時間猛暑の中練習していたこともあり、良好だった俺の体調はどんどん悪化していきました。
水筒の水もなくなり、ふらふらになりながら電車にのりました。
ところが、帰りの電車にのる時間帯は、丁度ピークの時間帯で、沢山の学生やら人が押し寄せてきました。
俺は乗り物酔いが酷く、しょっちゅう吐きます。
ぎゅうぎゅうの車内で俺の吐き気はMAX手前、あの気持ち悪さは歴代トップでした。
ですが、先輩もいる中吐くに吐けず、昼飯も小さいおにぎりとinゼリーだけだったので、まず吐くものがない。
胃液がぐるぐるして、まっすぐ歩けない、水もない、そんな状態でした。
そしてさらに最悪なことに、俺は楽器を運ぶ楽器チームだったので、一階から四階まで両手にクソ重い楽器を持ち、運ぶ必要があったのです。
吐きたい、でも皆に迷惑をかける、そうだ水道水を飲もう、水飲んだらさらに気持ち悪くなった、どうしよう。
という感じだったんですが、バス軍のパートリーダーに「楽器は私達でやるから、mzkくんトイレに行ってきていいよ」と言われたので、俺はトイレに駆け込み、吐きました。
トイレに誰もいなくて良かったです。
汚い話になってしまいますが、出たのはすべて胃液で、透明でした。
俺はその時、ようやく吐けたという安堵と、迷惑をかけてしまったという罪悪感でなんとも言えぬ気持ちになりました。
トイレから出たら顧問の長い話を聞かされ、予定より1時間遅れて学校を出ました。
そこからというもの、部活に出たらまた気持ち悪くなってしまうんじゃないか、めいわくをかけてしまうんじゃないか、という思いで、部活に出ることができなくなってしまいました。
休むことが一番の迷惑なのに。
結局、せっかくコンクールメンバーに選ばれたのに、コンクールには出ませんでした。
でも、先輩の演奏は聞きたかった。
だから俺は、母と姉と俺の三人でコンクールの演奏を聞きに客として会場に行きました。
3年の先輩の、最後のコンクール。
先輩のソロは、どんな学校の演奏よりもかっこよかったです。
そこから俺はまた、部活に出ることに決めました。
皆は暖かく迎えてくれて、俺はまたすぐに部活に馴染むことが出来ました。
バス軍のパー練は楽しくて、おしゃべりをしながら皆で一生懸命練習しました。
初めて皆で合奏した宝島は、とても楽しかったです。
ですが、コンクールで銀賞をとったこともあり、顧問の練習はどんどんハードになっていきました。
部活を休むなんて気合が足りていないんじゃないか、と言われて。
部活は予定の時間より1時間オーバー。
俺は部活についていけず、体調を崩し、また出れなくなってしまいました。
それから5ヶ月。
俺は一回も部活に出ていません。
今更出れませんし。
皆よりも実力はだいぶ劣っています。
出たところで、俺はまた出れなくなるでしょう。
家にはお盆のころに持ち帰った先輩のお下がりの銀色のユーフォニアムがあります。
出れなくなって3ヶ月ほどは一回も吹かなかったけれど、最近はずっとユーフォを吹いていて、やっぱり下手になったな、って一人で笑っています。
でも、”上手さ”に縛られないユーフォは、とても楽しい。
俺はこんなユーフォが吹きたかったんだな、と改めて思いました。
顧問は上手さを追求する人で、俺は楽しさを追求する人。
そりゃあ、こうなるよなって思いました。
確かに、いくら楽しくても上手でなければ聞く人は不快になるかもしれません。
けれど、俺にはこのぐらいが丁度良かったんです。
楽しいって思えるぐらいが。
俺はユーフォニアムが大好きです。
どれだけ顧問が嫌いでも、部活に出れなくても。
ユーフォが、バス軍が、先輩が、音楽が、大好きです。
もう少しで冬休みが明けますね。
俺はそろそろ、このユーフォを学校に返そうと思います。
もうユーフォを吹くことはないかもしれないけれど、それでも、俺はユーフォが大好きです!!
今までも!これからも!
俺は、ユーフォニアムが大好きです!!!
いつまでも、響いていてほしい!
この綺麗で美しい透き通った音を、皆に知ってほしい!
響け!ユーフォニアム!
心にとどまり続ける音よ、永遠に!
改めて言います。
俺は、ユーフォニアムが大っ好きです!!!
最後に。
先輩。
俺にユーフォの吹き方を、素晴らしさを教えてくれてありがとうございます。
貴方に、貴方たちに出会えて、俺は本当に良かった。
大好きです。
196896通目の宛名のないメール
小瓶主の返事あり
お返事が届いています
吹奏楽部のチューバ吹き
部活を休むだけで気合いが足りてないか...
そんなことはないと思うのにな。
当たり前のことで人には個人差がある。
それを無視して変なこと言われるなんて。
俺も夏の炎天下の中、マーチングを毎年している。
予定表を見ると休みなんてお盆➕2〜3日のみ。
本当に少ない。だから、俺だって休みたかった。
チューバなんてゴミまで思った。(八つ当たり)
人気がなくて、マイナーで、重くて。
さらに、誰かと勢いよくぶつかったら大怪我、それか死。
だから、動く凶器とか色々言われた。
もちろん俺は部活を休みたくなった。
でも、先輩とならいくらでも頑張れた。
自分の大好きな先輩。あの人がいなければ今、部活を続けているかもわからない。
俺もバスパートが、チューバが、ユーフォが大好きだ。
mzkさんがユーフォを吹けなくとも、いつかまた楽しく吹ける日を願います。
また、部活は勝ち負けよりも楽しさだから。
それを忘れないでほしい。
mzkさん、ユーフォ、お疲れ様でした。
mzk
(小瓶主)
本日(3/19)ユーフォニアムを学校に返しました。
もう当分ユーフォには触れられないと思うと、少し寂しいですが、なんだか吹っ切れた気がします。
俺は俺の道を行きます。
いつか、またユーフォには出会える時が来るから。
その時まで、ギター弾くとか、小説書くとか、好きなことを追求して、ユーフォが好きだった頃の自分に恥じぬ自分になろうと思えました。
ばいばい、ユーフォ。
今まで本当にありがとうね。
大好きだよ。
ターニャ
mzkさんはスゴイです。
絵心もあるし、楽器も出来る!
音楽なんてちんぷんかんぷんだし、リコーダーすらマトモに吹けませんよオレw
譜面なんて読めません。
ユーフォって大きくて見てるだけでビビり。
甲子園などを見てるとカッコイイって思う。
好きなものがあるのって、それだけで才能です。
ツキカ
どうしてもこれだけはmzkに伝えたくて、お返事させてもらいますね。
これは私の持論でしかなく、他の部活を否定するようなものではないということを先にお伝えしておきます。
吹奏楽部って文化部とか運動部とかで分類できない独特な部活だと思ってるんです。
だから吹奏楽部にしかわからない辛さがあってその辛さ一つ一つが重たい。その代わり、吹奏楽部にしかわからない喜びや楽しさがあってそれら一つ一つが重たい。そう思っています。
私は今まで、重たい辛さに耐えかねて、吹奏楽に喜びや楽しさを見出だせなくなって、最終的に吹奏楽を嫌いになってしまって、部活を辞めていく先輩、同級生、後輩を見てきました。(もちろんそれ以外の理由で辞めた仲間もいますが)そうやって辞めていく仲間を見るのは本当に辛かったです。
だから、大好きなmzkが、吹奏楽部でたくさん重たい辛さを感じても、それと向き合って、今もなお吹奏楽に、ユーフォに、喜びや楽しさを感じて、愛してくれているのが凄く嬉しいんです。
たくさん辛いことがあったのに、ユーフォを愛していてくれてありがとう。貴方に愛されて、ユーフォと貴方の先輩は物凄く嬉しいと思います。
本当にありがとう。
元吹奏楽部パーカッションパートの3年生より
名前のない小瓶
もっくん。もっくんやっぱ、良いやつやね。
そんなに辛いことがあったのに部活に出ようって思うのは
すごいこと。
でも、大事にしてほしいのは自分の身体と心。
自分の気持ち。大事にしてん?
ちょっと嫌やと思ったらごめん。
俺、その顧問の奴が許されへん。
それでも、好きな物をどんな形でも「好きだ」って言える
もっくんはかっこええな。
そうゆうとこ、俺大好きやで。
人に配慮しながらも、気持ちを考えながらも、どんな形でも
ゆえるそのもっくんの性格。
でも、ちょっと嫌やと思っても我慢しがちじゃないんか?
ごめん、お節介やろ。
でもな、もっくんに楽に生きてほしいから。
楽しんでほしいから。
苦しんでほしくないから。
いってしまうねん 。
こんな長く話ししてたら顧問のやつと一緒や。
でも、長くても面白かったらいいねんな。
じゃあな。
頑張り過ぎんように、頑張れよ。
大好き。
もっくんへ愛を込めて謙志より
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。