年を重ねるって、ただひたすら無意味なことだ、
そう思っていた。
物事を深く考えたりする余裕なんてなかったし、
元々面倒なことはすべて嫌いで回避してきた。
だから少し驚いている。
ただ生きてきただけなのに、勝手に身に付くことってあるんだなと。
日々をただやり過ごしてきただけの人間にも、
年を重ねるだけで見えてくるものがある。
経験知、というものだろう。
でもそれだけでもないようだ。
過程をすっ飛ばしていきなり結論を知っていることに気づいたりもする。
勿論間違ってるかもしれない。
自分の中では得心が行っているけれど、
世間にはあまり受け入れられないことも混じってるだろう。
でもちょっとだけ愉快だ。
失うばかりだと思っていた人生に、得ているものがあったなんて。
求めなくても、勝手に手に入るものもあったんだな。
これはあれだ、本を読みさくっていたあの時以来だな。
時間があれば本を読まずにいられなくて、
兎に角1秒でもあれば本を読んでいたあの時。
自分にとっては3大欲求に並ぶ欲求だったな、
いや、それ以上か?
ただ己の欲求のままに読んでいただけだったが、
結果として国語の勉強はほぼなにもしなくても常に成績が良かった。
別に頭は良くない、自分が一番知ってる。
でも学校レベルの問題なら教わる必要はなかった。
勝手に身に付いていた。
この人生も相当いい加減に生きてきた。
舐めてると言われても仕方ない。
自分なりに辛酸もなめたと思っているが、もちろん上には上がいるだろう。
ま、なんだ。
年を重ねるだけで、無為に生きてきただけで、
勝手に身に付くものもあるって話。
だから何だ?
ただ自分にとっては面白かった。
へぇー。
真剣に生きた人とかは、もっと違うのかね。
自分みたいなもんでも、なんか身に付いてるからな。
さっさと死んどけばよかったってホント何度思ってきてるか分からないけど。
たまーに、こうして面白い経験があったりするよな。
生きてるとね。
大概は、見たくもない、知りたくもない、経験したくもないことだけどね。
他の人からしたらどうかは知らんけど。
でもやっぱり、自分はもう生まれたくも生きたくもないぞ。
神様、ほんとそこんとこよろしくな。