こういった話題は滅茶苦茶荒れやすいけど。
本来は荒れちゃいけないような、冷静に話し合うべき問題なんだよね。
死刑制度に限らず、自分と反対側の意見を何としてでも「打ち負かしてやろう」「懲らしめてやろう」って、そんな物言いばかりのネット社会。
他方を攻撃して勝ったつもりになったって、意味ないのにね。
なんて前置きはどうでも良いんだ。
死刑制度賛否にどんな論点があるのか、「死刑反対」の立場の意見を「感情論抜き」に書いてく。
まず、憲法36条では、「残虐な行為を絶対に禁止」しているのだけど、死刑はこの「残虐な刑罰」に当てはまるのでは、という論点。
現行法では、死刑は絞首刑によって執行されている。(実は明治6年の太政官布告からそんなに変わっていない)
この執行法を「残虐である」とする根拠として、「①苦痛時間が長い可能性」「②遺体の損傷が激しい可能性」が挙げられる。
ラブルという研究者の調査によると、首吊りでの死に方は5種類あるという。
詳細は省くが、①に関しては、首が絞まってから最長で5分間意識を保つ場合がある。逆に一瞬で意識を失う例は少ない。②は頭部離断の可能性、ようするに、縄で首が切れちゃう的なやつ。
なぜこれが残虐である事の理由になるのかというと、昔に古畑さんという人が「絞首刑は①一瞬で意識を失って②遺体の損傷も少ないから安楽」という鑑定書を出したから。それに反駁する形ね。
とはいえ、絞首刑が残虐である説明はしても死刑が残虐である説明はできていないから、まだ説明が足りないのだけれど。
いっぱい書くと疲れちゃうから36条問題はこの辺でお開き。
次に、賛成派がよく根拠とする「被害者遺族の感情」に対する反論。
最近の裁判では、被害者や被害者遺族がその思いの丈を述べる機会が与えられるらしい。
けど、その「感情」は果たして科学的であるか(要するに、再現可能性があるか)が問題となる。
例えば、同じだけの被害・損害があった事件A Bがあったとする。
Aでは「絶対に死刑にして欲しい」
Bでは「死刑だけはやめて欲しい」
と遺族からの提言があったとして、その通りに刑罰を言い渡したとしたら、「人によって刑罰が変動する」事にお墨付きを与えることになり得る。罪刑法定主義から見て、ちょっとどうなのってなるよね。
もう一つ例を出すと、Bよりも被害の規模が小さい事件Cの被害者が極刑を望み、その通りになったとしたらどうだろうか。
具体的に、かつ滅茶苦茶極端な事を言うと、万引きが殺人よりも上の刑罰を言い渡されたとしたら、それは横暴でしか無い。
「感情」を司法に組み込むというのは、ある意味機械的に行わなければならない裁判には少々難しい。
まあ後は国際社会における潮流とか色々あるけど、省こうか。
何でこんな事を書き殴ったかというと、私自身が法的な感覚を失わないため。
そして、現状や法を無視した感情で無茶な屁理屈を主張し、それでもって誰かを傷つける人になりたくないから。
此処で書いたのは議論のほんの一部であり、反論も十分可能なもの。
もし本気でこの問題について考えたい……反対派を叩きたいとか、正論に似た屁理屈で鬱憤晴らしをしたいとか、そんなの抜きに本気で向き合いたいのなら。
その取っ掛かりとして、大阪弁護士会のホームページにある死刑制度についての動画が分かりやすい。
死刑だけで無く、犯罪と懲役刑の実態について知りたいなら、山本穣司の『獄窓記』が参考になるかも。
あくまでも参考だけど。
私はどちらかといえば、執行者の心理的な負担に鑑みて反対派なんだけど、でも賛成派の言い分も納得がいく。
ジレンマを抱える社会ではあるけれど、ちゃんとした議論の展開の先に、合理的な判断が下されると良いな。
自分とは反対の意見でも、理由が説明されたら納得できるから。
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つきまちうさぎ🌕️🐇
正論と、屁理屈。
それは、似て 非なるもの。
🐰
…たまに さ。
相手のことを思うから、相手に分かってもらおうとするための言葉なのか?
それとも、
相手を嫌いだから、相手を打ち負かすのが目的の言葉なのか?
分からなくなるものって、あるよね。
🐇💭
ーでも、興味深いお話だったなぁ。
(難しい問題だけど、ちょっと考える、いい きっかけになりそう。)
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