目隠しをされて、今日も綱を渡る
グラグラ揺れる綱を何も見えないまま
怖くて、辛くて、孤独にたえかねた人が
ほら。また一人飛びおりた
叫びは聞こえないけれど、あの人は
いったいどうなったのかな。
横風が強く吹いて、バランスを崩しそう
目眩がするくらいの恐怖に、また自分を偽るの?また逃げるの?自分を殺すの?
本当にそれでいいの?
君はそれで満足するの?
誰にもわかって貰えないさ。誰にも私の苦しみなんてわからないよ。
でも、今日も叫ぶんでしょ?
助けて。私を見て。優しくして。
叫び疲れた。泣きつかれた。
歩くのも疲れたよ。いったいこの綱はどこまで続くんだ。進んだ先に幸せはあるの?依然、目の前は真っ暗で、希望の光はさしていない
歩くのを止めた。よし。私も飛びおりようじゃないか。頑張った結果、私は何も得られなかった。それどころか辛いことしかなかったから
また横風が強く吹いた
慌ててバランスをとり直した
あぁ、目が痛い。世界が見える。眩しい
ふと、足元を見た。
長い長い綱の下には、ネットが張られていた。
君は支えられていたんだ
誰もいないと思っていた?
大丈夫。君の側には人がいる
一人だなんて、世界中を回ってから言うんだ。世界には君とは違って、ネットもないもっと細い綱を渡っている人がいるんだから。そんな人達に君が必要ないと言う人がいると思うの?
君の言う世界は狭すぎた。
真っ暗で、前も後ろも見えない世界じゃない。目隠しが取れた君はきっと足取りも軽くなる。一度大嫌いになった世界も温かく思える。
今の君にはそれがわかっていないだけ
君の目隠しが取れるまで、私は君の側にいよう。もう一度笑い声をあげられるまで
気がついた後の世界ほど、温かいものはないのだから。
それを教えてくれたのは、君だから
今度は私が君に教えてあげよう