目の前で続く暴力と暴言。
夢に出てくる。
今でも忘れられない。
殺したいほど父親が憎い。
死にたくなるほど怖い。
父親から逃げてくることができた。
でも、もしも、
見つかったらどうする?
殺される?
連れ戻される?
頭の中が疑問で埋め尽くされる。
恐怖と共に襲ってくる虚無感。
お父さん、寂しい。
幼いあの頃のように抱きしめてよ。
笑って名前を呼んでよ。
美味しいご飯作ってよ。
一緒にお菓子作りしようよ。
一緒におでかけしようよ。
仕事のお手伝いさせてよ。
周りから見ると不幸だとしても
ほんのひとにぎりの幸せな思い出もある。
どれだけ憎くても、血の繋がった
たった一人の貴方に対する愛もある。
置いてきてしまってごめんなさい。
幼くて子供だった私には
逃げることしかできなかった。
どうして向き合わなかったんだろう、
どうして支えてあげられなかったんだろう、
なんて、裏切られたのに
まだ夢を見てる私は馬鹿だね。
もう後戻りできない。
私はお母さんと2人で暮らしてるよ。
お父さんと3人で住んでた頃より
すごくすごく幸せだよ。
お父さんの友達から聞いたよ。
元気に暮らしてるんでしょ?
彼女ができたみたいだね。
お母さんの時みたいに殴らないであげて。
もう同じことを繰り返さないで。
お互い居場所はわからないけど
別々の道を幸せに生きよう。
お父さんが死ぬ間際に
私に連絡が来るみたい。
何を言われるか怖い、
私のこと忘れてるかもね、
でも、たった一人のお父さん
大好きだったお父さん
大嫌いだったお父さん
貴方が逝く前に会いに行きます。
その頃には全て吹っ切れて
この世に生を授けてくれてありがとう。
って言えるといいな。