お母さんは私を強くて前向きで良い子だと言う。
けど強くて前向きな子が、昔のささいな出来事を思い出して夜中に目を覚ましたり、お風呂場で俯き黙って冷たいシャワーを被り続けたり、顔も知らない人宛にこんなメールを書いたりはしないと思う。
私が本当は強いどころか、弱虫で根暗なその辺にいるただの女の子ほどの度胸も無いことを、人に話したことはない。
いつも真面目な振りをして聞く親友の悲しい悩み相談が、まるで汚い感情のはけ口にされている気がして嫌で堪らないのも、誰にも話したことはない。
私は女だけれど、女の子の友達を、心の底から本当に好きになれたことが一度も無いことも、でも1人は寂しいから嫌なことも、口に出したことはない。
人に愚痴や悩みを聞かされるのが嫌だから、自分に話される相手も嫌だろうと考えて、友達にこの悩みを打ち明けたこともない。
他人のことは本当は毛程も興味がわかないのに、1人になりたくはないから無知な良い子の振りをしている。でも自分に自信がないから、自信満々で自分の決めた道をしっかりと歩んで成果も出し始めている友人達のことを思うと不安で息が苦しくなる。
それでいて自意識過剰なものだから、少しついていけなくなっただけで、人に忘れられていると感じる。
これ以上にたくさんある嫌な部分を、私はこれからも抱えて行きて行かなきゃならないのだろうか。
これからも黙って口を塞ぎつづけ、軽く担いでいるふりをしてこの重たいコンプレックス達と付き合って行かなくちゃならないんだろうか。
現実の私を知っている友達や家族がこのメールを見たらあまりの悲劇のヒロインぶりに笑うと思う。笑って馬鹿にされる程度には私は上手くやれている。
相手が人間だから、余計なことを考えて上手く行かなくなるのだろうか?
もうすぐやって来る誕生日に、お小遣いで可愛いテディベアでも買ってみようか。
そしてテディベア相手に、ひっそりと私の秘密を打ち明ける。嫌なこと、悲しかったこと、誰にも言えないことを、文面ではなく声に出して、ひそひそと。そうしたら少しはマシになりそう。
ディズニーランドで親に買ってもらったミッキーには、とてもじゃないけどこの悩みを口に出しては打ち明けづらい。