男の恋人がいます。彼は女の僕を愛してくれるので心の中に一生懸命女のスペースを作りました。ずっと男になりたいと思ってたけど、こどもの頃から、自分がおかしいってわかってて、だから自分をだましだましやってきました。最近になって、性同一性障害とかそういう名前でメジャになってきて、自分はおかしくなかったのかと思い始めたけれど、なかなか変わることはできません。親にもいうことはできません。
初恋も女の子で、はじめての恋人も女の子でした。弊害が多くて上手くいきませんでした。わかりきっていました。でも、今の男の恋人が、女だったらいいのにって思ってます。そうすれば収まりが良いのにって思ってるけど、きっとその方が弊害が多いのです。今は幸せです。
四月から大学生になります。女性もののスーツを着て入学式に出ると思うと胸が痛みます。スーツはまだ買っていないけど、どうせ親に言えないので女性ものを買うことになります。僕が女で居てもいいと思うのは恋人の前だけです。一生懸命作ったんです。それを大勢に見られたくありません。髪も彼のために伸ばしていますが、女みたいで、あまり鏡で見たくないです。
昔は、僕の中の男と女が干渉し合ってないまぜになって、自分でもよくわからなくなっていましたが、今はお互いに干渉しない。それぞれ別の部屋に閉じこもってるみたいです。女の心の部屋は小さいけれど、恋人が入られればそれでいいと思います。彼は男の僕も知っています。僕を理解してくれて愛してくれるから、僕も彼のために女の部分を明確に作り上げました。男の部屋が女の部屋を囲うように出来ていて、誰でも受け入れられるような広い部屋なのです。
とても贅沢なことを言っていると思います。でも普段は男で居たいです。女として見られていると思うと寒気がしてくる。スーツ着たくないなあ。目立つのは構わないから普段着じゃあ駄目だろうか。大学に行かせてもらえるだけでも幸せなのはわかっているのに、毎晩考えて眠れません。大体こんなふうに感情的になるのが女々しい。もうよくわからない。