母は私があの扉を開けたくない理由なんて、考えたことないんでしょうね。
私がどれほどあの場所を恐れているかなんて、知ろうとする気もないんでしょうね。
私があの扉の先にいる人たちに何をされたかなんて、興味もないんでしょうね。
あの場所で私は殺されたようなものなのに、そこへ行けと母は怒る。
うつなんて甘えだと。
あんたは逃げてるだけだと。
そうです。
私は逃げています。
そうしないと、今よりもっと頭がぐちゃぐちゃになって、心が壊れてしまうだろうから。
でも母は何を言っても理解してくれません。
ベッドに縛りつけられて、徐々に迫る剃刀の振り子を眺めているような生活。
あの場所に行く前に、あの人たちに会う前に、母に振り子の糸を切られてしまいそう。
それならもう、自分で切ってしまった方が、楽でしょう。
ね。