ちょっと聞いてくだいよー、っていう風な話。
同窓会があった
いった
でも直接誘われたわけじゃない
数少ない(約2名)の友人の一人から誘われた
僕は主催者の名前を見た
僕は悩んだ
あの頃の僕と言えばまるで日陰のシデムシで
もしかしたら誰も覚えてないかもって
思っちゃうぐらいには希薄だった
主催者は人気の犬か猫のようで
小虫を虐めるのが好きだったようで
躾はなっていなかったね
誰がわざわざ嫌いな奴に会いに行くのかと
笑いすら零れた
同窓会の日
僕は約束の公園に居た
気まぐれだった
たまたま帰省できて
たまたま時間が空いた
たまたまだと言い聞かせた
何人かの同級生が居た
まあ変わっている人も居た
ほぼ変わってない人も居た
喋った
気軽に話しかけてくれたけど
そんなに長く喋れないから
済まないって今でも思ってる
初恋のひとも居た
昔喧嘩したひとも居た
幼馴染のひとも居た(めっちゃ綺麗になってた)
そうこうしてるうちに
主催者がやってきた
あれ、と思った
何て言うか、もっと、こうシュッとしてたような
簡潔に言えばカッコよかったような
記憶の中の彼は今、やや小太りの姿で現れた
記憶に違わぬ自信満々の顔の彼は
やや時刻を過ぎて現れた
それから彼らは数人で何やらコントじみた事を始めた
主催者くんが別の男をからかい(無茶振りというやつだ)
さらに別の男が迎合する(唯々諾々というやつだ)
僕はこれと同じ光景を学生時代に見た事ある
目の前のウィットの欠片もないコントは
シュールを通り越して薄ら寒さすら感じた
年末の冬空
それからのこと
例の友人と別れ一人の帰り道
まあ楽しくないことはなかった
楽しそうで楽しくないちょっと楽しい、そんな感じだ
上手くいってそうなひとやそうでもないひと
結婚したひとや離婚したひと
男が好きな男や女がすきな女
色々な人が居た
まあ悪くなかったよ正直
だから感謝しなくちゃいけないんだろうけど
主催者くんはちっとも変ってなかった
僕はかつて彼を憎んでいた
だけど僕は今彼をちょっと哀れだと思っている
きっと僕は彼が嫌いだった
だけど彼を羨ましいと思っていたのだろう
あんな風にカッコよくなれたら
あんな風に自信が持てたらって
そんな風に思っていたのだろう
彼はあの頃の時間を生きているのだろう
彼ははきっと変わらないことが
一番良いのだと思っているのだろう
彼がいまどんな境遇なのかは知らないし
知りたくもない
僕は変わりたいと思っている
今よりももっと良い場所があるんだって思っている
今や僕の魔法は解けて
彼の魔法は解けなかった
それだけのこと
だけど彼と僕でどれ程の違いがあるのだろう
僕だって僕が好きなもので部屋を飾っている
僕の気の合う人と遊んでいる
それに違いはないのかもって
そうも思うけど
彼の思う『3組』には僕の居場所はないが
僕の生きる現代にはもう『3組』なんてとうにない
もっと言えばここには僕の住所すらないんだ
その内話すことばだって変わるだろう
そんなことを思いながら新幹線は発車した
そんな正月明け
おしまい
48182通目の宛名のないメール
お返事が届いています
りぃふ
冬の冷たくも身体に心地良い風をイメージしました。
時間は流れていくのですね。
私もいつか、魔法がとけるのかなぁ。
素敵な小瓶をありがとうございます。
ななしさん
短編小説でも読んだような気になった。
ななしさん
ありがとう、今は今の時間が流れていることを思い出させてくれて。
ななしさん
そうか
そんなこともあるよね
私は同窓会は行かない
あの頃の私は私ではない
みんなが見ていた私は違う。別の人格だったのだから。本来の私は今いる私だ。だから過去を振り向かないで未来だけを見て生きる。大丈夫なんだ。もう私の中に、あの頃のみんなはいないから。
ななしさん
彼だって別の居場所を持っているのだけれど
昔の集まりでは昔の自分を優先したんじゃないかなーと
まあ気にしないで前向けばええんちゃいますか
寒いなら羽織ればええんちゃいますか
まりちゃん
なんかいも
ちゃんとよんだよ**
あなたは、いま、とても素敵な人だと
私は思ったよ。
読めてよかったです、
ありがとう。
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。