ずっと描いてきた。下手な絵を。
……動きは止まり、えんぴつが手から落ちる。
場面は変わり。
狂気に満ちた表情で左手に握りしめた包丁を右手に振り下ろす。
包丁を一度叩きつけるだけでは骨まで断つことはできず、溢れてくる感情と痛みで涙が絶えず流れる。
悲痛な叫びをあげながら、何度も何度も右手の指を一本ずつ包丁で分断していく。
部屋は静まり返った。しばらくするとすすり泣く声とともに、「これで幸せに…」というつぶやきが。
原型を保っていない右手を前に伸ばして机に突っ伏している。
その右手からはただ虚しく血が溢れ出していた。
包帯でぐるぐる巻になった右手でえんぴつに触れた。カランと音がするだけ。もう二度と、えんぴつを握って、いつものようにくだらない絵を描くことはできない。
それでもまだ、諦められない私がいたとしたら、どうしてやればいいのだろうか。