私にとって、家族といることは仕事みたいに思える。
別に不自由なく暮らさせてもらってきたし、恵まれていないということはないと思う。苦労もかけてきたし、感謝の気持ちも多少なりともあると思う。
でも、心を許せる存在じゃない。
気を使うし、つらいときも元気に振る舞わなければならないし、真剣な相談をしたとしても傷つくだけ。
家族といえど、気を許さなきゃならないこともないし、相性が必ずしもいいということはないと思う。
一緒にいると本当に疲れて、どこか遠くに行きたくなる。
唯一、心を許せる家族はおばあちゃんだった。幼い頃、辛いことがあるとよくおばあちゃんに泣きついていた。中学くらいのころ、母にその関係を壊された。
壊されたと思っているだけで、壊したのは自分かもしれないし、修復することもできたが、しなかったのも自分だ。
もう、つかれた。家族と暮らして、気を遣って、笑顔でいたり、笑わせたり、場の空気を和ませたり、他の兄弟の世話をしたり、怒らせないようにしたり、夫婦喧嘩の間に入ったり。
もしかすると、それらすべて、ぼくは、ぼくが傷つかないためにやっているのかもしれないなぁ。家族といることは、家族に自分を見せることは、傷つくことだから。
母は僕を道具みたいにしか思ってないんだろうな。父は産んだこと後悔してるんだろうな。と思ってしまうことさえある。
ぼくは、自分が傷つかないように、状況を歪めて認識してしまってるだけなんだろうか。本当は、愛されているんだろうか。
あぁ。つかれた。もはや、そんなことどうでもいいや。
ニュージーランドに行きたい。
家族との連絡を断ちたい。
ただひとりで草原に寝転んで、青い空を流れる雲をぼーっと眺めたい。
鳥を観察したり、牧場で働いたり、波を眺めたり、変な色の温泉を変なのーって見つめたり。
そんなんがしたい。
自分のことばかり考えたい。
こんなに良くしてくれてるであろう家族を、こんなふうにしか捉えられないのは、ぼくには何か大事なものが欠けてるんだろうか。
明日もまた家族に会わなきゃならない。胃が痛いなぁ。朝が来なけりゃいいなぁ。