お久しぶりです。元気ですか。卒業してからもう二桁の年月が経ちました。
君はどんな大人になったんだろう。
私は君にしょっちゅう絡んでいたね。学校の席替えで連続3回隣になった時はとっても嬉しかったです。多分恋の喜び、みたいなのはあれが初めてだったと思います。3年生までぴったし身長が同じに成長してたのにはびっくりした。これが運命ってやつか!って思ってた。
たくさん話して、放課後は近所だから一緒に帰ってましたね。君はちょっと嫌そうな顔してたけど笑笑 あの時はごめんね。
けれども好きという気持ちは伝えられませんでした。
君が好きな人を知っていたからです。
知ったきっかけですか。元々噂になってたのは知ってましたが、信じてはなかったのです。けれど、確信し、君を諦めたのは……。
給食の時間に時々流れていた校内のテレビ放送を覚えてますか。君は興味もなくて、いつもは見向きもしませんでしたけど。
あの日もそうでした。
君がテレビ放送なんて見ないのは知っていたので、私はいつものように話しかけようとしてました。
その時です。あの子の声が流れてきたのは。
途端に君はテレビの方をふりまき、じっと彼女を見つめてました。
そうして彼女が画面からいなくなると、君はまたつまらなさそうに給食を食べだしたんですよね。いつものように。
でも、その光景をじっと見つめていた私には何もかも知った瞬間でした。
そうして私は君の親友になることを選びました。君がなんでも話せるような、そんな友達になることに決めたのです。
そういうわけで、君にはとうとう告白もしなかったし、チョコもあげずそのまま卒業しました。まあ、君も私の気持ちにうすうす気づいてたんだろうけど。
中学からはバラバラだったし、近所と言っても結局不思議なくらいに会いませんでしたね。
それから少し大人になって、君の家と私の家が実はあんまり仲良くなかったことを知りました。
わたしはそれを知って、心の中で笑い、泣きました。
ねえ、あの頃の君はどこまで知っていたの?
大人の事情、というどうしようもない事実をもっと早くに知っておけば、私は君に恋することもなかったし、苦しい思いを抱えずにすんだろうな。恋してる私を知ってて、それをどんな目で見てたのか思うと、今でもやりきれないよ!
けれども、やっぱり君への片思いの時以上に幸せを感じた人はいないんだよね。君のことを今でも好きなのは流石にありませんが、やはり初恋だったので特別な思い出なんでしょう。…実は、たまに君が夢に出てきます。あの頃の姿のままで。とはいっても、今の君とは別人なのはよくよく分かってるけどね。夢の中では良い子だよ。君は悪戯好きだったから、よくからかわれてたから、その反動じゃないかな?ほんとマセガキで、やな奴だった。
…もし、今会っても、やっぱり君はそうなんだろうか?そしたら、こんどはやり返すぞ!
色々言ったけど、君が初恋でよかった。うん。…君が教えてくれた本や漫画は今でもファンなんだよね。なんだかちょっとくやしいけど笑
ありがとう。
元気でね。