「課題だるいなぁ…」
愚痴を吐くと、周りの空気が淀む気がする。
今日の課題は、世界の子どもたちについてをまとめるものだ。
数学の計算問題とかのほうが好きだが、こればっかりは仕方ない。
「新聞、新聞…」
うちが購読しているのは、鋭く切り込むタイプの「名月新聞」と分かりやすさをモットーとしている「深海新聞」の二社である。
両親の「いろいろな考え方に触れさせたい」という思いの表れである。
今の俺の成績は、ちっちゃな頃から新聞を読んでいた影響を大きく受けている。
「ただいま〜。」
「あ、お父さん。お帰りなさい。」
「おう。勉強か。」
インド出張に行っていた父さんが帰ってきた。
疲れた顔をしているが、土産話が沢山あると話す声色は明るい。
「インド行くたびに思うけどな、やっぱ我が家は恵まれてるんだよ。」
「その話、お父さん毎回するよね。」
「いや、だって十もない子どもが、『買ってください』って泣きついてくるんだぞ。日本じゃなかなか見ないだろう。」
「…。」
「ストレスだなんだ、今の若者は言うけどな。私たちより辛い人なんて山程いるからな。」
スマホを開き、検索サイトに「インド 子ども 売買」と打ち込む。
と、沢山の関連記事が目に飛び込んできた。
この小さな画面でこんな量の情報が出てくることに改めて驚きつつ、一つをタップして読み進める。
『私たちより辛い人なんて山程いるからな。』
父さんの言葉が、頭の中でずっと反響している。
きっと俺らより辛い境遇の子どもたちもいっぱいいて、その子はその子なりに必死に生き抜いていることも知ってる。
でも、辛さってきっと比べるものじゃない。
それにきっと、明來は、明來は…。
『山口は、大丈夫か?』
『はい。見た感じ、特に。…バイト一個増えたってくらいですかね。』
『きっと、ストレスで押しつぶされてしまうこともあると思う。支えてやってくれ。』
『…明來は、そんなこと。』
『あるかもしれないぞ。…あのな、』
いつの間にか、記事は全て読み終わっていた。
…何も頭に入ってこなかったなぁ。
「あぁ、もう考えるの辞めた。」
ノートを開くと、シャーペンを乱暴に押し付けて書き殴る。
「ぁ…」
芯の折れる音を聞いて、静かにため息をついた。
誰でも無料でお返事をすることが出来ます。
お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います
▶ お返事の注意事項
つきまちうさぎ🌕️🐇
お父さんの言うのも 分かるのですが……
人は、それぞれ 耐えられる範囲とか、違うものですものね。
🐰💦
まだまだ 甘えたい年頃の学生さんなのに、たしかにストレスは(たとえ 隠してても)尋常じゃなさそうです。
『考えるの辞めた』ってなっちゃう心理も理解できるだけに、今後の展開が心配ですね…
📚️ 📖
誰でも無料でお返事をすることが出来ます。
お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います
▶ お返事の注意事項