私は今心が乱れている。
何故かというと母から連絡があったからだ。
子供の頃、母からの愛情が欲しかった。
でもそれは少しずつ欠けるように崩落していった。
子供の性格が良くないと、特に私のように独立心が先行しがちな子供は、あきらめることでしか自分の心を守れなかった。
物語の中の、親への屈託のない愛情や信頼を持ち続けられる子供が、美しく思えた。
私の最初の頃の母への記憶は嫌われているという事実に、泣いたり拗ねたり、悲しくなったこと。
私と母は親子のようではないと。私は手放した。
とっくの昔、まだ幼い頃、ひたすらに認めてほしく褒めて欲しかったあの頃、私は母から愛されることを手放した。
それが今、大の大人になって既に必要のなくなった今、むしろ無駄なものとなった今、母は私に与えようとしてくる。
もうその手から放してはくれないか。
それがあなたにできる唯一の愛情表現だというのに。
私は愛されてなどいない。
その事実をこの年になって、あなたの元を離れた今となってもまざまざと見せつけようとしてくる。
二重人格のあなたは昔の自分を忘れてしまったようだ。別人のあなたが大人の私に会いに来る。
私が避け続けているのを気づいてほしい。
私からあなたへ愛を手渡すことはできないのだと知ってくれ。
私のことを放っておいてくれないか。
愛情を感じてくれているのなら、私からの見返りを求めないでくれないか。
昔も今も、ずっと苦しめ締めつけられている。
もうやめてくれ。もううんざり。もう手放して手放させてくれ。
これが私のあなたへの愛情です。